第255話 確信へ
キョウカが部屋に入ると、モニカがコタツに入る。
「そっちはどうだった?」
「お店に行き、キョウカさんのドレスを注文しました」
「オーダーメイド?」
「はい。キョウカさんの意見を聞いて、店員さんが決めていました」
マリエル様は見ているだけだったんだろうな……
「オーダーメイドって高くない?」
「多分……ただ、やはりマリエル様が出すようです」
ホント、良くしてくれるわ。
「今度会った時に礼を言うよ。キョウカは大人しくしてた?」
『私は猛獣じゃないでーす』
いいから着替えてなさい。
「普通にしてましたよ。クラリスの方が騒いでたくらいです」
モニカが苦笑いを浮かべた。
「まあ、クラリス様はね」
そういう人。
「ええ。あとは屋敷に戻って、いつものお茶会ですね」
いつものあれね。
そのまま待っていると、私服に着替えたキョウカが部屋から出てきて、隣に座った。
「キョウカ、ドレスはどんな感じ?」
「ちょっと想像がつきませんね。まあ、あまり着る機会はないでしょうが、せっかくなのでお披露目会でもしますか。写真を撮って飾っても良いですよ」
それ七五三とかじゃない?
「肖像画だったら貴族の屋敷に飾ってあるイメージだけど、やめとこうよ」
それに飾るならルリとミリアムが良い。
「それもそうですね。ところで、話って何ですか? ユウセイ君もいるようですけど」
キョウカがユウセイ君を見た。
「山田さんに迎えに来てもらった」
「へー……大事ですか?」
キョウカが聞いてくる。
「うん。今日、桐ヶ谷さんのところに行って、長野のことの報告と共に話を聞いてきたんだよ」
「ええ。そう言ってましたね」
ルリが頷いた。
「上級悪魔のオーラフだったか? それがいたんだよな?」
ユウセイ君が確認してくる。
「うん。そのことからやはり悪魔教団がまだ滅んでないんじゃないかって話をしたんだよ。協会もその認識のようで海外の似たような組織にコンタクトを取ったら悪魔教団の名前が挙がったんだって」
「やっぱりか……」
「想像以上の規模の組織だったんですね……」
ユウセイ君とキョウカが神妙な顔になった。
「タツヤ様、これはもう異世界の悪魔教団がこちらにいる悪魔教団と同一と決めても良いと思います」
俺もモニカと同意見。
「そうだね。なんで異世界にある悪魔教団が日本に来たんだろうと思ってたけど、日本だけじゃなく、世界中に布教してたんだ」
「間違いないでしょう。こちらの教団の未熟具合や活動時期から考えて、本体は異世界にある悪魔教団でしょう。それはつまり、そちらをどうにかしないと、いくらこちらの世界の悪魔教団を倒しても解決にはならないということです」
大本を絶たないとダメか。
「考えうる予想の中で一番最悪なのが当たったな」
「これ、私達みたいな家も協会も海外の組織もどうしようもないってことだよね」
名家の子達が神妙な顔のまま、相談しだした。
「そうだな。対処はできても常に後手後手だ。しかも、山田さん達が使う異世界の魔法は俺達の魔法とはちょっと違うから厄介だぞ」
「というか、ばんばん上級悪魔が出てきたらヤバくない?」
「状況は非常に悪いな。一番は異世界のことを説明できないこと」
それだね。
これは俺の自分勝手ではない。
この世界の歴史を考えても異世界のことは知られてはならない。
「実はさ、これは話の本題じゃないんだ」
「ん? そうなのか?」
「うん。これもまあ、大事なことだけど、前にもちょっと話したことだし、その予想が当たっただけ」
陛下から悪魔教団のことを聞いた時に皆で相談したことだ。
結論としては静観。
俺達には俺達の人生と幸せがあるから。
「タツヤ様、本題は何でしょう?」
モニカが聞いてくる。
「さっきの話を桐ヶ谷さんとした際に桐ヶ谷さんからこれをもらったんだよ」
そう言って、桐ヶ谷さんからもらったファイルをコタツの上に置く。
すると、モニカがファイルを開いた。
「これは?」
「前に例のあの人と悪魔教団の幹部の家を調べた際に見つかった教団に関わっている人間のリスト」
「これが……多いですね」
モニカがぺらぺらとめくっていき、それを皆で見る。
「外国人の名前も多いな」
「漢字は中国人かな? 他にも欧米っぽい名前もある」
「本当に大規模ですね。それにこの色んな国の名前を見ますに世界中の国々に悪魔教団がいるっていうのも頷けます」
協会もそう思ったから海外の組織と接触したのだ。
「キョウカ、知り合い……というか、ウチらの人間はいないか?」
ユウセイ君がキョウカに確認する。
「いないと思う」
名家連中の名前があったらさらにカオスになる。
「キョウカ、この名前に覚えはない?」
【ラウレンツ・ポートリエ】の名前を指差す。
「ラ、ラウレンツ・ポートリエ……!」
キョウカより先にモニカが反応した。
モニカはあっちの世界の人間だし、色々と動いているから詳しいだろう。
「どっかで聞いたことがあるような……」
「ほら、王妃様の誕生日会で会ったでしょ」
「あー、クロード様の同期で表情がまったく信用できなかったあの伯爵さん…………え?」
キョウカが目を点にして、こちらを見てくる。
モニカは手で目を押さえ、悩んでいた。
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