第250話 進路相談は?
新幹線に乗り込むと、すぐに出発した。
長野までは1時間半で着くらしい。
「2人共、学校は本当に良かったの?」
九条さんと天海さんに聞く。
「わたくし達はキョウカさんと違って、ちゃんと点数も取れているので数日休むくらいは問題ありませんわ」
「普段はちゃんと勉強してる。まあ、どうせ、この世界で生きるし、別に勉強なんていらないけどね」
うーむ、この子達は優秀みたいだ。
「キョウカだって頑張ってるんだよ。この間は国語で80点を取ってた」
「へー……あのバカで有名なキョウカさんがですか……変わるもんですね」
「彼氏ができて変わったのかな? 女子は点数が上がるか、下がるかの両極端だしねー……」
バカで有名なんだ……
「そんなに賢くはないけど、良い子なんだよー」
「良い子……? あれが? 刀を向けられたこともありますけど?」
九条さんが眉をひそめる。
「まあ……山田さんはそう言うでしょ。うん、私も良い子だと思うな。表情がコロコロして可愛い……可愛いし!」
天海さんが精一杯フォローしているが、苦笑いだ。
良い子なのに……
「2人はさー、高校を卒業したらどうするの?」
「それを考えているところですね」
「この前のユウセイ君の言葉が突き刺さっているんだよね。何も考えてなかったけど、よく考えたら私らって来月には3年じゃん? 進路どうしよ……」
この時期にまだ考えてなかったのか。
「キョウカとユウセイ君はこのまま正式に協会の退魔師をやるらしいよ」
「でしょうね。ユウセイさんはちゃんと考えていましたし、バカもある意味で賢い選択をしました。あの子は山田さんのような落ち着いた大人の男性が手網を握ると良いんでしょうね」
おー? 褒めてくれてるのかな?
いや、キョウカをディスってるのか?
「どうしようかなー……協会って金払いはいいんだよね?」
天海さんが聞いてくる。
「すごく良いね。協会に入って半年くらいだけど、すでに貯金がすごいことになってる」
「どっかに嫁ぐよりそっちかなー……今の時代、女も自分の力で切り拓くべきって先生も言ってたし」
この子達はそれができる才能も実力もあるらしいからな。
「ウチのチームが陳情を出したから君らも今は給料が出ないけど、来年以降、正式に協会の退魔師になったらこれまでの実績を加味してくれると思うよ。いきなり月に何百万も貰える」
「何百万……しかも、月……」
九条さんが悩み出した。
「八神さんもそんくらいもらってんの?」
天海さんが八神さんに聞く。
「半年間、海外で遊んでても生活に一切、困らないくらいはな……協会に呼び出されなかったら1年は休暇の予定だった」
すげっ……
しかも、海外だ。
「ミユ、正解はこれじゃない?」
「そうですねー……というか、一ノ瀬の金の亡者共こそ、協会に入ればいいのに」
ユウセイ君の従姉のお姉さんね……
会ったことないけど、玉の輿狙いらしい。
「一応、危険な仕事であることは忘れないでね」
「それはもちろんわかっています。でも、家にいても家を継げないですし、タダ働きで危険なことをさせられるか、良いところに嫁ぐかです」
シビアだなー。
「女は家を継げないからねー。別に結婚願望もないし、やっぱり協会かなー? 何百万はでかいよ。ブランド物買い放題」
「それね」
この子達も協会に就職しそうだな……
「このまま八神さんと組むの?」
「いや、この人、1年働いて1年休むサイクルだそうです」
そういう生活もいいなー。
「今年はウチらに付き合ってくれるらしいから来年以降はミユと2人かな? ユウセイ君ちょうだい」
「ダメ。というか、キョウカじゃないの?」
同性の方が良くないかな?
「いつ産休に入るかわからない奴はいらない。あいつ、バカバカ産みそうだし」
嫌な擬音……
「その話、やめない?」
八神さんの手前、良くないと思うんだ。
「いやー、堂々とした方がいいですよ?」
「そそ。後ろめたいことなんてないんだから……あ、いや、あるか」
多分、モニカのことを言ってるな……
「モニカは誤解だってば」
「ふーん……」
「あ、山田さん、連絡先を交換しよーよ。進路の相談に乗って。こればっかりは学校の先生に相談できないからさ」
悪魔のことは話せないしな。
「いいよ。何でも聞いて」
俺達はスマホを取り出し、連絡先を交換する。
「では、招待いたしますね」
九条さんが3人のグループを作って招待してくれると、すぐに通知が鳴ったので見てみる。
ミユミユ:キョウカさんとヤッた? どうだった?
リコリン:モニカさんって愛人? やっぱり大きい方がいい?
何でも聞いてとは言ったけども……
あと、ミユミユ、キャラ違くない?
山 田 :どっちも誤解だよー
最近の若者は怖いなー……
それから1時間以上、根掘り葉掘りと聞かれたが、そのすべてを適当に誤魔化しておいた。
そして、長野に到着し、駅から出ると、近くにあったレンタカー屋さんで車を借り、八神さんの運転で出発する。
なお、俺が助手席で後部座席にミユミユとリコリンだ。
「山田さん、今日の動きを確認してもいいですか?」
八神さんが聞いてくる。
「ええ。まずは潰れたスーパーに行くんですよね?」
「はい。そこで様子を見ます。悪魔なのか人間なのかが判明していませんが、悪魔ならば山田さん、人間なら私が対処するということでよろしいですね?」
「すみませんが、それでお願いします。私は人間相手にはちょっと……」
「謝ることではないですよ。悪魔の方が遥かに面倒ですし、厄介です」
強いのは悪魔だと思う。
でも、俺には人間を相手にした経験がない。
悪魔に憑りつかれている人間ならできるんだけど……
「2人は?」
もちろん、ミユミユとリコリン。
「とりあえずは見学です。いけそうならいってもらいましょう」
「それでいい?」
後部座席の2人に確認する。
「構いません。わたくし達だって、勝てない相手と戦いたくないですから」
「命あっての物種だしね。おたくのキョウカちゃんとは違うわけー」
そこは一切、否定できない。
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