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第227話 村が発展(ちょっとだけ)


 村に戻った俺達はダリルさんの家に向かう。


「ダリルさーん」


 ダリルさんの家の前までやってくると、扉をノックしながら声をかける。

 すると、すぐに扉が開き、ダリルさんではなく、フィオナが顔を覗かせた。


「村長さん、こんにちは!」


 フィオナは元気いっぱいに挨拶してくる。


「うん、こんにちは。ダリルさんの家で何してるの?」

「お手伝いをしています!」


 へー……


「偉いねー」


 感心しながらフィオナの頭を撫でた。


「ありがとうございます! どうぞ、中へ!」


 フィオナに勧められたので中に入り、ダリルさんが座っている対面に座る。


「ご無沙汰しております、タツヤ様」


 ダリルさんが頭を下げた。


「こんにちは。フィオナがお手伝いしているんですか?」

「ええ。冬に入ってから村の子供達に文字の読み書きや算術を教えておりましてな。その中でもフィオナは特別優秀だったのでこうして手伝いをしてもらっているのです」


 それはすごいな。


「なるほど。すごく良いことだと思います」

「私もいつぽっくり逝くかわかりませんからな。モニカはタツヤ様のそばにいるでしょうし、少しでも村の運営に携われる人間が多い方が良いです」


 ダリルさんのブラックジョークはきつい……


「ダリルさん、まだ元気じゃないですか」

「ははは。もちろん、まだ死ぬつもりはありませんぞ。まだまだこれからです」


 ダリルさん、なんか村長をしていた時より若返っている気がする。

 食べ物が安定してきたこともあるだろうが、どこかやる気に満ちている。


「当然ですよ。私にはあなたの力が必要です」

「ありがとうございます……フィオナ、今日はもういいから遊んできなさい」

「わかりましたー……今日は絶対に勝つぞー」


 フィオナは何かにやる気を出しながら家から出ていった。


「トランプです?」

「ええ。子供達も大人達も皆、やっております。まあ、私もですけどね」


 楽しそうで何より。


「ダリルさん、先程、クロード様を訪ね、舗装工事の件のお礼を言っておきました」

「ありがとうございます。こちらも給金を払いましたし、まとめ終えております」


 さすがはダリルさん。


「それで次なんですけど……」

「村の道の整備ですな?」


 話が早くて助かるわ。


「ええ。せっかくですし、学んだ技術を活用しましょう」

「わかりました。材料なんかを仕入れ、すぐにでも工事に取り掛かりましょう」

「よろしくお願いします」

「ええ。それとですが、新たに馬車を購入したいと思っています」


 これも前にモニカと話したな。


「良いと思います。道を整備しましたしね」

「はい。リンゴはハリアーの商人が運びますが、木材のことがあります。運搬用の馬車とそれに耐えられる馬を購入したいと思っております」


 大きい馬かな?


「それで進めてください」

「かしこまりました。それともう一件、牛を飼いたいと思っております」

「良いですね。食べる用です?」


 牛肉は美味いし。


「それもいずれはしたいですが、まずは牛乳ですな。小麦は仕方ありませんが、乳製品も輸入に頼っております。これを解消したいと思っております」


 牛乳ね。

 確かに大事だわ。


「牧場でも作ります? 陛下より正式にこの大森林の所有者として認められましたし、例によって魔法で領地を広げられます」


 しかも、木材も得られるから一石二鳥だ。


「牧場ですか……」

「もちろん、管理の問題も出てきますが……」


 ウチは30人程度しかいないし、仕事を増やしすぎても問題だ。


「いや、そこまで大規模なものにもならないでしょうし、人手が足りないということでもないと思います。モニカ、どう思う?」


 ダリルさんがモニカに聞く。


「良いと思います。数頭の牛、それにせっかくなんで山羊を村で放牧するのが良いと思います」


 山羊は雑草を食べてくれるから良いと聞いたことがある。

 日本でもそういうレンタルをやっているとテレビで見た気がする。


「では、そうしますか。道の整備が完了したら進めたいと思います」

「わかりました。どの辺りに牧場を作りましょうか?」

「東の方の畑の先でお願いします。あちらが風下ですしね」


 なるほど。

 匂いか。


「わかりました。では、早速、牧場を作ってきます。あ、それとなんですけど、道の整備が終わったらでいいので何人か人を貸してくれませんかね? 執務室の先の方にモニカの家を新たに作りたいのです」


 とりあえず、セカンドハウスや温泉の前にモニカの家を先に作ってもらおう。


「ふむ……確かにそちらの方が対応しやすいかもしれませんな」


 まあ、ダリルさんもモニカがほぼ俺の家にいることは知っているだろう。


「設計図は作ってありますので」

「わかりました。家を作るのは慣れたものですし、そこまで時間はかかりません。そちらの方も進めておきましょう」

「お願いします。では、我々は牧場となる平地を作ってきます」

「わかりました」


 俺達は方針を決めると、ダリルさんの家を出て、東に向かう。

 そして、休耕中の畑の横を通り、森の前にやってきた。


「ちょっと離れた方がいいかな?」


 風下とはいえ、匂いが気になるかもしれない。


「だと思います。道を作って、その先に牧場を作りましょう。道さえ作っておけば、舗装もやってくれると思います」

「じゃあ、そうしよう」


 俺達はルリ、ミリアムと協力して魔法で伐採、伐根して道を作っていく。

 その際にモニカもついてきたのだが、もう魔法を見てもへこむ様子は見えなかった。

 そして、50メートル程度の長さの道を作り終える。


「こんなもんかな……牧場の広さはどんなもんかな?」

「牛舎は村の人達が立ててくれると思います。とりあえずは50メートル四方の平地を作りましょう。狭いようでしたらまた広げればいいわけですし」


 それもそうだな。


「じゃあ、切っていこう」


 俺達はその後も木を切っていき、平地を広げていく。

 そして、夕方になるくらいには50メートル四方の平地ができたので後のことは村の人達に任せ、帰ることにした。


お読み頂き、ありがとうございます。

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