表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~  作者: 出雲大吉
第6章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

225/235

第225話 ちょっと懐かしい


 翌日、魔道具関係の本を読みながらルリとミリアムと配線の転移について相談していた。

 すると、昼前くらいにモニカがやってくる。


「こんにちは」

「やあ。今日は遅かったね」


 モニカはいつも早く来て、朝食を食べるのに今日は来なかった。


「ええ。朝からちょっと報告を受けていましたので」


 報告?


「何かあったの?」

「いえ、大事があったわけではありません。ハリアーとリンゴ村間の舗装工事が終わったんですよ」


 おー! 終わったのか!


「それは良かったね」

「はい。その報告や書類、給金なんかをダリルさんと話し合っていました」


 なるほどね。


「大丈夫? 手伝おうか?」

「いえ、私達でできますし、あらかた終わったので問題ありません。あとはダリルさんがまとめてくださいます」


 モニカは当然だけど、ダリルさんも有能だからな。

 安心して任せることができる。


「なら大丈夫だね」

「はい。そこでなんですが、ハリアーの町に行きませんか?」


 ハリアーはクロード様が治める隣町だ。

 最近は王都ばかりに行っていて、ハリアーには行ってない。


「ハリアーに?」

「はい。クロード様にこの度のお礼をした方がよろしいのではないかと思いまして」


 あー、そういうことか。

 確かにお金を半分も出してもらったわけだし、直接礼を言った方が良いだろう。

 ラヴェル侯爵もクロード様とは仲良くしておけって言ってたし。


「じゃあ、そうしよっか。ちょっと道を見てみたいしね。昼ご飯を食べたら行こうか」

「はい。そうしましょう」


 俺達はルリが作ってくれた昼食のラーメンを食べると、準備をする。

 そして、研究室を抜け、村の中を通ると、門を開け、外に出た。


「おー、道だ」

「いい感じですね」

「確かにこれなら馬車もスムーズにゃ」


 村から先に続く道はこれまでの土の道ではなく、石材で舗装された綺麗な道になっている。

 これなら馬車の振動もないだろうし、雨が降ってぬかるむこともない。


 俺達は舗装された道を歩いていき、確認していく。


「うん。バッチシだね」

「はい。皆さんも頑張ったようです」


 ありがたいね。


 俺達はその後も歩いていき、ある程度の道を確認すると、転移を使い、クロード様の領地との境界である道が分岐しているところまで飛んだ。


「ここも道ができてるね」

「ですね」


 ここからウチの村までの道は当然ながらハリアーの町への道、王都まで繋がっているらしい道も石材で舗装がなされている。

 ただ、左方向の道はがたがたの土のままだ。


「あっちは開拓村だったね」

「はい。バルトルトと共に盗賊になった開拓村があります。もっとも開拓村はすでに潰れています」


 監査官も盗賊に加担した村人も死んでいるからな。

 それにウチ以外は上手くいかなかったっぽい。

 当然、クロード様としても舗装をする必要がないから放置のままだ。


「何とも言えないね。行こうか」


 俺達は歩き始め、ハリアーの町に入る。

 ハリアーの町は王都ほどではないが、相変わらず、人が多く、賑わっていた。


「変わらないねー」


 騒がしくもなくて、程よい町だ。


「クロード様はできた御方と評判ですからね。この町は平和です」


 そういう領地がお隣なのはすごく運が良かった。


「逆に平和じゃないところもあるわけ?」

「大きな声では言えませんがありますね。町に入るだけでお金を取ったり、重税を課したり、中には治安が悪い町もあります」


 まあ、そういうところもあるか。


「王様は何も言わないの? 年に一回ほど監査官が来るんでしょ?」


 年貢なんかの確認に来るらしい。

 なお、ウチは100年くらい来ない。


「その程度では言いませんね。不作などの都合もありますし、貴族は貴族で力が強いですから」


 重税や治安が悪いのはその程度なんだ……

 やっぱりそういう世界なんだな。


「ウチはそうならないようにしようね」

「もちろんです。いらぬトラブルは避け、平和に生きましょう」


 まったくだ。


 俺達は街中を歩いていき、クロード様のお屋敷の前までやってきた。


「こんにちは」

「おや? 山田男爵……じゃなくて辺境伯。ごきげんよう」


 門番の兵士に挨拶をすると、笑顔で挨拶を返してくれる。


「ええ。クロード様はおられますか? 舗装工事のお礼をと思って、立ち寄らせていただきました」

「かしこまりました。少々、お待ちください…………あの、失礼ですが、こちらの子は?」


 門番の兵士がルリを見る。

 そういえば、ルリを連れてきたのは初めてだ。


「娘のルリです」

「おー! そうでしたか! とても利発そうですし、可愛らしい子ですね」


 この兵士、できるな……


「でしょう?」

「ええ。それはもう……では、ちょっと取り次いできます」


 兵士が敷地内に入り、走って、お屋敷に向かう。

 そのまましばらく待っていると、兵士がフェリクスさんを連れて戻ってきた。


「ご無沙汰しております、辺境伯」


 フェリクスさんが姿勢よく頭を下げる。

 舗装工事の提案をされた時以来だが、フェリクスさんも元気そうだ。


「こんにちは。今日は我々の方が来ましたよ」

「わざわざありがとうございます。クロード様がお会いになるそうです。どうぞ、中へ」


 フェリクスさんに案内され、屋敷に入る。

 そして、正面の階段を昇り、廊下を歩いていくと、奥にある扉の前で立ち止まった。


「クロード様、山田辺境伯をお連れしました」


 フェリクスさんが扉をノックしながら声をかける。


『ああ、入ってもらってくれ』


 中からクロード様の声が聞こえると、フェリクスさんが扉を開け、部屋に入った。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【販売中】
~書籍~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(2)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜
カドコミ
ニコニコ漫画

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

― 新着の感想 ―
アポ無しでいきなり行くな!と言いたいところだけど、描写が無いだけでアポは取ってるんだろうなぁ。
できる貴族は門番からできるのだ 割と侯爵と仲良くなっちゃって、クロード様あんまし関わり薄いけど 本来なら最も縁の深い貴族になるはずだったんだろうな
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ