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第224話 ルリ「お風呂から上がりづらくなっちゃった……」


 家に帰ると、ルリが料理を始めるためにキッチンに向かった。


「おかえりにゃ。どうだった?」


 モニカとコタツに入ると、ミリアムが顔を出し、膝の上に乗る。


「楽しかったよ。でも、ミリアムが言うようにちょっとお腹が空くね」


 高級魚も泳いでいた。


「だろう? あんなもんは食べられない回転ずしにゃ」


 すごい感性……


「あ、そうだ。ミリアムにお土産。クッキーだよ」

「食べるにゃ。開けるにゃ」


 ミリアムが急かしてきたのでクッキーの包装を剥ぐ。

 そして、美味しそうに魚介類の形をしたクッキーを食べるミリアムを撫でながら一息ついた。

 そのまままったりと過ごし、ルリがドリアを始めとする料理を持ってきたので皆で食べる。


「美味しいね」

「はい。ルリさん、ありがとうございます。本当にお上手で羨ましいです」


 モニカはちょっと料理が苦手だからな。


「いえ……お口に合ったのなら良かったです」

「美味いんだが、熱いぞ、おい……」


 猫舌のミリアムがにゃー、にゃー言ってる。


「ケーキもあるよ」

「ありがとうございます」

「にゃー」


 俺達は夕食を堪能し、ケーキを食べる。

 やっぱりチョコケーキだ。


「なんかケーキを食べていると、キョウカさんに悪い気がしてきますね」


 俺もちょっと思った。

 今頃、必死こいておさらいをしていることだろう。


「まあね……テストが終わったらケーキバイキングに連れていくよ」


 また戦争が始まる……


「ケーキバイキングですか……私はちょっと無理ですね。そんなに食べられない気がします」


 モニカは少食だからな。


「俺もだよ。その点、キョウカはすごいよ? 何しろ、その翌日にもクリスマスケーキを食べていたからね」


 さすがの若さだ。

 まあ、その後の月曜から走ってたようだけど。


「すごいですねー……」

「まあねー……」


 俺達はケーキを食べ終えると、まったりと過ごす。

 9時を回ったあたりでモニカが風呂に入り、上がってくると、今度はルリが嫌がるミリアムを連れて風呂に行った。


 俺はなんとなく、ルリがいつも座っている場所の近くに転がっているサメのぬいぐるみを取る。


「お姉ちゃん……」

「いや、キョウカさんはサメじゃないですよ。ルリさんもそんな意図で買ったわけじゃないと思います」


 まあ、そんな気はする。

 このサメはぬいぐるみだから目が穏やかだし、チャーミングだ。

 いや、キョウカも可愛いけどね。

 人斬りキョウカちゃんも好きよ?


「なんか負けた気がするんだよ」

「ルリさんもキョウカさんに心を開いていると思いますが、さすがにそこはタツヤ様の方が上ですよ。それはもう……」


 まあ、ルリがキョウカに懐くのは良いことではある。

 ルリは大人しいからモニカにはすぐに懐いたが、キョウカはスキンシップが過剰だから微妙に嫌がってたし。


「まあいいか」


 サメを元の位置に戻す。


「タツヤ様、本日は私なんかのためにありがとうございました」

「いや、当然だよ。モニカも家族じゃないか」

「ありがとうございます。そう言ってもらえると嬉しいです」


 モニカがにっこりと微笑んだ。


「これ、誕生日プレゼント」


 俺は空間魔法から包装紙に包まれた小箱を取り出すと、モニカに渡す。


「プレゼント……」


 モニカは受け取った小箱をじーっと見る。


「いつもありがとうね。モニカはいつも頼りになるし、本当に感謝してる。それに一緒にいてくれて、嬉しいよ」

「ありがとうございます……」

「開けてもいいよ」


 そう言うと、モニカが恐る恐る包装紙を剥がしていく。

 そして、包装紙を剥がし、小箱を開けると、中に入っていたネックレスを取り出した。


「ネックレス……」

「これまで王妃様とか貴族夫人の人達の分を選んでいる時にずっと考えていたんだよ。モニカに似合うかなって」

「ありがとうございます……嬉しいです」

「喜んでもらえて嬉しいよ」


 どうしてもプレゼントというのは不安だ。

 そんな経験がほとんどないから。


「着けてみる?」

「そうですね…………着けてもらえると嬉しいです」

「貸して」


 モニカからネックレスを受け取ると、前にも同じようなことをしたなーと思いながらモニカの首に手を回す。

 すると、風呂上がりの良い匂いがした。


 やっぱりこれは近い……

 それにモニカも絶対に俺から目を逸らさんな。


 俺はちょっとドキドキしながらモニカの首の後ろに手を回し、ネックレスを着ける。

 なんとかネックレスを着け終え、離れようとすると、モニカが背中に手を回してきた。

 モニカの綺麗な金髪から香る女性特有の甘い匂いが鼻孔をつく。


「どうしたの?」


 冷静を装っているが、心臓はバクバクだ。


「タツヤ様、私は多くを望みません。ただおそばにいさせてください」

「もちろんだよ。モニカにどこかに行かれたら困るし、さっきも言ったけど、家族だよ。どこにも行かないで」


 俺もモニカの背中に手を回し、あやすようにさすった。


「ありがとうございます。愚鈍でロクに魔法も使えない私ですが、やれることはあります。必ずやお役に立ってみせますし、お支えします」

「うん。よろしくね。一緒にリンゴ村を運営して、楽しく生きようよ」

「はい……」


 モニカは頷くと、離れる。


「似合ってるよ」

「ありがとうございます。大事にします」

「うん」


 あー、すごかった……


いつもお読み頂き、ありがとうございます。

コミカライズが更新されておりますのでぜひとも読んで頂ければと思います。(↓にリンク)


よろしくお願いいたします。

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コミカライズの方はキョウカちゃん登場だーー!
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