第193話 もうちょっと頻度を増やすか……
「わかりました。付き合いましょう」
「ありがとうございます。では、ちょっと加賀美さんに電話します」
桐ヶ谷さんはそう言うと、車から降り、スマホを取り出して電話をし始めた。
「ミリアムもついてきてくれるよね?」
「当然にゃ。まあ、私達は3人の話を聞くだけだろ」
だといいけどねー……
俺達がそのまま車内で待っていると、桐ヶ谷さんの電話が終わったようでスマホをしまっているのが見える。
そして、車内に戻ってきた。
「お待たせしました。明日の昼1時から協会近くにある喫茶店でお願いします」
協会ではないのは名古屋支部のことを受けてだな。
「わかりました。えーっと、どこですかね?」
そう言いながらスマホを取り出す。
「あー、山田さんは初めてでしたね。でしたら協会にお越しください。一緒に行きましょう」
「わかりました。それでお願いします」
「ちなみにですが、ロザリーの魅了に対抗するすべはあります?」
「うーん、私の場合は橘さんがいればなー……でも、18禁の2人ですし、連れていくわけにはいきませんよね」
モニカやルリも連れていくわけにはいかない。
ミリアムで頑張ろう。
「対抗手段がないわけですか……わかりました。周りに調査員を配置しておきます」
「お願いします」
「はい。では、明日ということで今日はもう帰っていただいて結構です。本日はありがとうございました」
「いえいえ。何卒、何卒どうかよろしくお願いします。ウチにはこんなに可愛い猫と笑顔が可愛い娘がいるんです」
ゴマをずーり、ずーり。
「はいはい……わかりましたから」
「では、これで失礼します」
「お疲れ様です」
俺はミリアムを抱きかかえ、車から出る。
そして、自分の車に乗り込み、帰ることにした。
そのまま車を走らせ、家に着いた時には夕方の5時前となっていた。
「モニカは来てるだろうけど、キョウカは来てるかな?」
「この時間なら来てるんじゃないか? 多分、お菓子でも食べてるだろ」
そうだろうなーと思いながら車から降り、家に入る。
「ただいまー」
そう言いながらリビングに向かい、扉を開ける。
リビングにはお菓子を食べながらコタツに入っている女性陣3人がいる。
ルリはテレビを見ており、キョウカとモニカは何かを書きながら話し合っていた。
「おかえりなさい」
「おかえりなさーい」
「お邪魔しております」
3人が声をかけ返してくれると、ミリアムがキョウカに向かって駆けていく。
「おー、ミリアムちゃん! お姉ちゃんが恋しかった……あれ?」
ミリアムは手を広げて迎えるキョウカをスルーし、そのままコタツの中に突っ込んでしまった。
「外は寒かったんだよ」
そう言いながらルリを持ち上げて自分の定位置に座ると、ルリを自分とコタツの間に置いてコタツに入る。
ずっと室内にいたルリはとても温かった。
「んー? タツヤさん、どうかしましたか?」
隣に座っているキョウカが首を傾げる。
「いやー、色んなことがありすぎたよ」
「ルリちゃんから仕事で出たとは聞いてましたけど?」
「それね。連絡しなくてごめんね」
仕事を受けた旨はキョウカとユウセイ君に伝えていない。
「それはいいですけど……やけに疲れてません?」
目に見えてわかるくらいに疲れているようだ。
ルリも俺に背中を預けて、好きなテレビも見ずに見上げている。
「まずだけど、仕事は調査。悪魔教団の幹部の家を探ってきた」
「あー、それですか」
「しかも、協力して仕事したのが例のあの人」
「……まさかクソレズ女ですか?」
キョウカがあからさまに嫌そうな顔になった。
「それ。だから桐ヶ谷さん判断で君達は参加できないってなったんだよ」
「参加しろって言われても参加しませんけどね」
でしょうね。
「まあ、加賀美さんはまだ良かったんだよ。仕事は真面目にしてたからね。でも、その場にはロザリーもいたんだ。ロザリー、加賀美さんの使い魔になったんだって」
「は? イカレ女だと思ってましたけど、よりにもよってあれ?」
「そそ。最悪の組み合わせ。そういうわけで明日、桐ヶ谷さんと聴取だよ」
「クソレズ女ごと、殺せばいいんじゃないです?」
さすがはキョウカ。
頼もしいような不安なような……
「まあ、その辺も含めて桐ヶ谷さんに任せた。それとちょっと嫌なものを見ちゃってね」
「あれ以上にですか?」
「うーん、そう。調査してたんだけど、いやーな写真が入ったファイル。ルリ、今日は一緒に寝ようねー」
「はいっ!」
ルリが嬉しそうに俺の手を取る。
「でもまあ、なんとなく想像は付きますね。教団の後始末にはウチの家からも人員を出しているそうですけど、いやーなものを見たそうです」
同じような感じだろうな。
「最低な教団だよ。でも、もう終わりだと思う。今回の調査で各地の教団の拠点情報が見つかった」
「おー、それは決まりですね。一斉に取り締まって終わりです」
「さすがに俺達はもう参加しないけどね。悪魔がいれば別だろうけど」
「ですねー。これでひと段落ついて安心です」
ホントにねー。
「そういうわけで調査の仕事は終わった。成功報酬で500万くれるって桐ヶ谷さんが言ってる。あと、君達の貢献度も加味してくれるってさ」
「おー、ダブルで朗報!」
「お祝いしようか。ちょっと肉は食べたくないから別のやつ。ルリ、何がいい?」
「ピザ!」
好きだねー……
「良いよ。キョウカも食べる?」
「食べまーす。ユウセイ君はバイトでーす」
ごめんよ。
今度、奢ってあげるから。
「じゃあ、適当に選んで注文していいよ」
「はい! シーフードですかねー……」
ルリが空間魔法からピザのチラシを取り出して、嬉しそうに眺めていく。
どうやら空間魔法でチラシを持ち歩くくらいにはピザが好きらしい。
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