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第185話 はさみうちだ! 逃げられない!


 桐ヶ谷さんとの電話を終え、スマホをコタツに置く。


「お仕事ですか?」


 ルリが聞いてくる。


「うん。悪魔教団の幹部の家の家宅捜索だって」

「悪魔教団……大丈夫です?」

「大丈夫、大丈夫。ルリは戸締りをしっかりして、家で待ってるんだよ?」


 絶対にあの人にはルリを会わせてはいけない。


「ハ、ハァ?」


 多分、モニカも来るだろうし、結界張っとこ。


「ミリアム、ついてきてくれる?」

「任せるにゃ」


 よし、ミリアムさんがいてくれれば心強い。

 まあ、あと俺は探知が得意じゃないからキョウカが無理な時点でミリアムに頼るしかない。


「ルリ、午後から出るけど、モニカとお姉ちゃんが来たら仕事って伝えておいて」


 多分、モニカは午後から来るだろうし、キョウカも夕方には来る。


「わかりました」


 俺達は魔法の研究を再開し、昼になるとルリが作ってくれたお好み焼きを食べた。

 そして、準備をし終えると、ミリアムと共に車に乗り込む。


「遭遇しませんように」

「知ってるにゃ。フラグにゃ」


 自分もそう思うにゃ。


「まあ、キョウカがいないから遭遇しても大丈夫でしょう。行くよ」

「出発進行にゃー」


 車を発進させ、スマホを見るミリアムの案内で走らせていく。

 すると、住宅街に入ってきたのだが、家が大きい。


「上級市民の住宅街か……」

「お前の方が上級にゃ。周りから石を投げられるレベルにゃ」

「貴族だもんね」


 そのまま車を走らせていくが、どこの家も高そうだし、警備員がいる家もあった。


「山田、そこを右にゃ」

「はいよ」


 ハンドルを切り、言われた通りに右に曲がる。


「そこにゃ」


 ミリアムにそう指示されたので門の前に車を停車させた。

 そして、エンジンを切り、車から降りると、家を見る。


「大きいね」


 高い塀に囲まれた広大な敷地に洋風の豪華な住居が見えた。

 駐車場もあり、高級車がずらりと並び、贅沢な生活を感じさせる。


「儲けてたんだにゃ」

「絶対にまともなお金じゃなさそう」

「悪魔教団だからなー……」


 ウチは一生懸命頑張っているというのに。


「こういう家は好みじゃないね」

「お前はそうだろうにゃ。とにかく、入ってみるにゃ」

「そうだね」


 門を抜け、敷地に入る。


「魔力は感じる?」

「全然」


 俺も感じない。

 まあ、今回はこの前の名古屋支部でのような調査ではない。


 歩いていき、玄関の前に立つと、ドアノブを握る。

 そして、捻って引いた瞬間、魔力を感じた。


「山田」

「わかってる」


 屋敷の中に魔力を持つ何かがいる。

 それもかなりの魔力であり、キョウカやユウセイ君よりも上だ。


 慎重に扉を開け、中に入る。


「……加賀美さんかな?」

「……あの女は魔力を隠すのが上手い隠密の魔法使いだった。こんな魔力は出さないにゃ」


 そっか……退魔忍だったね。


「……どこかな?」

「……奥の部屋にゃ。というか、この魔力は……まあいい。行ってみるにゃ」


 ミリアムに促されたのでゆっくりと歩いていく。

 奥に行けば行くほど魔力が高くなっているように感じる。

 そして、一番奥にある扉の前に立つと、その魔力が霧散した。


「あれ?」


 魔力が消えた?


「呼んでただけにゃ」

「呼んだ……」


 嫌な予感がしたが、ドアノブを握り、ゆっくりと引く。

 すると、くらくらするほどの甘い匂いが漂ってきた。


「温泉と愛人の家を同時に作ろうとしているいやらしい魔法使いさん、こんにちは」


 部屋の中にはマッサージチェアに座るいやらしい女がいた。


「ロザリー……」


 なんでこいつがここにいる?


「はーい、はろー。うざいディオンを倒してくれてさんきゅー」


 すごい……なんてうざいんだ……

 でも、エロい……実にエロい……こいつ、誘ってるな……なら仕方がない。

 据え膳食わぬは男の恥!


「山田ー……帰ってこーい」

「……ハッ!」


 クソッ! 魅了か!


 今日はキョウカもモニカもいないのでミリアムを抱えて撫でた。


「……いや、それで対抗できます?」


 ロザリーが呆れながらミリアムを見る。


「アニマルセラピーだよ」

「へー……まあ、今日はあなたをからかいにきたわけじゃないのでいいです」


 嘘つけ。


「ロザリー、なんでこんな所にいるんだ?」

「実はここに住んでいた男は私の彼氏だったんです……死んじゃいましたけどね」


 ロザリーがわざとらしくハンカチで目を拭う。


「嘘くさい」

「絶対に嘘にゃ」

「嘘ですよ……私は面食いなんです」


 こいつの言葉は中身がないな。


「正直に言ってくれ」

「つまらない男になりましたね。やはりあなたは女難の相が似合う。私がここにいる理由ですか? はい、後ろ」


 ロザリーが俺達の後ろを指差したので振り向く。

 すると、扉に肘をついてこちらを見ている加賀美さんがいた。


 「あ、加賀美さん……」


  いつの間に……

  まったく魔力を感じなかったし、気配もなかったぞ。


「こんにちは……キョウカちゃんはいないのか」


 加賀美さんがあからさまにガッカリする。


「キョウカは学校ですよ」


 あんたがいる時点で休みでも絶対に来ないけどな。


「オリエ、あのバカ娘はやめておきなさい。火傷するわよ?」


 ロザリーが優雅に諌める。


「つまんないわねー」

「人斬り女も所詮は女。女は男に斬られるんですよ。まあ、斬られると言うより突かれるですかね。ふふっ」


 この2人に挟まれている状況が非常に嫌だ。

 もう下ネタを司る悪魔じゃん。

 いや、そんなことより……


「……2人は知り合い?」


 さっきロザリーが加賀美さんの名前を呼んでいた。


「私がここにいる理由はオリエがそこにいるからですよ。私、オリエの使い魔になりました」

「は?」

「え?」


 このドスケベ悪魔、何を言ってんの?


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
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下ネタ悪魔、ともすれば脂ぎったおっさん悪魔を想像してしまう字面だ…
ミリアムが実質的な使い魔なので驚くほどでは…いや、驚くべきなのかな。
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