表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

144/228

第144話 久しぶりに感じる


 何かがもぞもぞと動いたので目が覚める。

 目を開けてみると、長い黒髪の少女が上半身を起こし、キョロキョロと部屋を見渡していた。


「どうしたの?」


 備え付けの時計を見ると、まだ6時だ。


「そっか……旅行でしたね。朝ご飯の準備をしなくてもいいんだ……」


 ルリはいつも早起きだからなー。

 俺が起きる頃には朝ご飯を作っている。


「今日はゆっくりでいいよ。ほら、おいで」


 布団をめくって誘うと、ルリが俺の布団の中に戻ってくる。

 そして、抱きしめてきた。


「温かいです……」


 うん、ルリも温かい。


「いつもさー、そんなに早く起きないでいいんだよ? 一緒に寝ようよ」

「はい……布団から出たくないです」


 だよねー。

 冬の布団は世界最高の友だ。


 俺達は二度寝をすることにし、目を閉じた。

 そして、日が昇り、明るくなると、起き上がる。


「おはようにゃー」


 ミリアムが例のスペースの椅子に座って挨拶をしてきた。

 俺はまだ寝ているルリとモニカを起こさないようにそーっと、布団から出ると、ミリアムのもとに行く。


「おはよう。いい天気だね」


 外は晴れており、朝日を浴びた庭園が美しい。


「そうだにゃ。温泉はどうでもよかったけど、ご飯は美味しかったにゃ」


 この上級猫さんは昨晩、ルームサービスでステーキを食べていた。


「楽しかったなら良かったよ。俺は風呂に入ってくるけど、適当なところで2人を起こしてくれる? 多分、2人も入りたいだろうし」

「わかったにゃ。しかし、人間はなんでそんなに風呂が好きなのかねー」

「気持ちいいよ? 今度、一緒に入る?」

「絶対にお断りにゃ。コタツの方が気持ちいいにゃ」


 俺は猫さんだなーっと思いながら部屋を出ると、大浴場に行き、朝風呂を堪能した。

 夜の温泉も良かったが、朝の温泉も気持ちよく、非常に快適だった。


 朝風呂を堪能し、部屋に戻ると、ルリとモニカがいなかったのでそのまま例のスペースで2人を待つ。

 しばらく待っていると、ホクホク顔の二人が戻ってきたので朝から豪華な朝食を食べた。

 そして、名残惜しい気持ちもあったが、また来ればいいと思い、帰りの準備をしてチェックアウトした。


 2日目も名古屋に行くまでの道中にサービスエリアや観光地を巡りながら運転していくと、夕方の6時くらいには名古屋の街中に到着した。

 ただ、夕方と言ってもこの時期の6時はもう真っ暗だ。


「着いたねー。俺はホテルにチェックインしてから帰るから3人は先に帰ってて」

「わかったにゃ」


 ミリアムが頷くと、ルリとモニカと共に消えてしまった。

 3人がいなくなると、車内が一気に暗くなったような気がしたのでビジネスホテルに急ぎ、チェックインする。

 そして、借りた狭い部屋に入り、一息ついた。


「昔はワクワクしたんだけどなー」


 前職ではたまに出張とかでビジネスホテルに泊まることもあり、その時は非日常にちょっと興奮したものだが、今はそうでもない。

 歳のせいか、それとも家が明るくなったおかげか……


「まあいいや。帰ろう」


 転移を使い、自室に飛ぶ。

 そして、荷物を置き、着替え終えると、リビングに向かった。

 リビングではルリとモニカがコタツに入っている。

 多分、ミリアムはコタツの中で丸まっているのだろう。


 俺はコタツに入ると、コタツの中に手を入れ、ミリアムを引っ張り出す。

 そして、ミリアムを膝の上に乗せ、撫で始めた。


「さすがに疲れたね」

「運転でしたもんね。お疲れ様です。旅行に連れていってもらい、ありがとうございます」


 モニカが礼を言ってくる。


「ううん。楽しかったし、良かったよ。ルリ、晩御飯、どうする? 今から買い物に行って作るのもだるいよね?」

「ピザを食べたいです」


 いいかもしれない。

 昨日は上品なもの食べたし、ジャンク的なものがちょうどいいだろう。


「じゃあ、そうしよっか。モニカと2人で決めていいよ」


 そう言うと、ルリが部屋からチラシを持ってくる。

 そして、モニカとチラシを眺めながら相談し始めた。


「ミリアム、明日から調査に入るけど、お願いね」

「わかったにゃ。まずは支部か?」

「うん。そこからになると思う。ロザリーが言うには残虐の悪魔ディオンっていうのがやったらしい」

「また物騒な名前だにゃー……」


 残虐だもんなー。

 強そうだし、恐ろしい。


「ちなみにだけど、ミリアムはそういうのはないの?」

「別にないにゃ。猫の悪魔ミリアムでいいにゃ」


 うーん、かわいい。


「タツヤさん、決めました。頼んでもいいですか?」


 どうやらピザを決めたらしく、ルリが聞いてくる。


「いいよ」


 頷くと、ルリが家の電話に行き、注文をしだす。

 その後、待っていると、ピザが届いたので皆で食べ、家でゆっくり過ごして就寝した。


 翌日、朝遅くに起きた俺はルリが用意してくれた朝食を食べ、準備をする。

 朝起きるのが遅かったため、時刻は10時前でホテルのチェックアウト時間ギリギリだ。


「ミリアム、いい?」

「大丈夫にゃ」


 ミリアムが頷き、よじ登ってくる。


「じゃあ、行こう。ルリ、夕方くらいに帰ってくるから。多分、キョウカとユウセイ君も来る」

「わかりました。お気をつけて」


 俺は頷くと、ミリアムと共にホテルの部屋に転移した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【販売中】
~書籍~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(2)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

― 新着の感想 ―
旅館の例のスペースの椅子良いよね!温泉上がりにそこに座ってピノ食べるの好きw
出張費用出してくれる組織に転職したのに未だにビジネスホテルを選んでしまうあたりが小市民だなぁ
[一言] 悪魔の名前分かったし調査完了でよくねw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ