第143話 ルリ「(へー……)」
ロザリーいわく、俺の女難の相は消えているらしい。
「消えてる?」
「ええ……見事に消えています」
マジで良かった……
ちょっとキョウカに殺されるのかと思っていた。
「ふう……」
「フフッ……そのまま愛し合うんですよ。それが人の性ですから……お隣の愛人さんに感謝すると良いですよ」
モニカ、キョウカと何か話していたしな。
「女難の相ってキョウカとモニカ? 一時はどうなるかと思ったけど」
具体的には家に帰ったら2人が鉢合わせていた時。
「もう1人いたんですけどね」
もう1人?
「え? 誰?」
他におらんぞ。
「クスクス……ちゃんと忠告したじゃないですか…………例え、あなたが相手をどんなに子供だと思おうが、愛に年齢は関係ない、とね」
子供……
てっきりキョウカのことだと思っていたが……
「ルリ、か?」
「ええ。そうですよ。でも、もう大丈夫。ちゃんと愛してあげましょう。愛というのは何も性欲だけではないんですよ?」
そりゃ知ってるが……
「ロザリー、君は一体何がしたいんだ?」
「愛ですよ、愛。私は愛を司る悪魔です。愛する者達を見るのが私の幸福です」
「そんな格好で?」
「こんな格好で」
いや、そのはだけた胸元はカップルの亀裂を生みそうなんですけど……
「ロザリー、名古屋のことは?」
「もちろん知っていますよ。支部の皆さんを皆殺しですってね。怖いですよねー」
全然怖くなさそうだ。
というか、他人事だな。
「何か知っている? 教えて」
「知っていますが、教えるのはなー……一応、お仲間のことですしぃー」
「そこをなんとか……」
「ふーむ……男に求められるとノーと言えないのが私の良いところであり、悪いところ……」
この悪魔、いちいち言い方がいやらしいんだよな……
「教えて」
「まあ、良いでしょう。そろそろあの人達にも飽きてきましたしね。といっても、最近はこの辺りの温泉で羽を伸ばしているので詳しくは知りませんけどね。ただ協会を襲撃した悪魔は知っています」
「上級悪魔だよね?」
「はい。残虐の悪魔ディオンです」
残虐……
物騒だな。
「強いの?」
「まあまあってところです」
この人のまあまあがわからない。
ミリアムいわく、とんでもない悪魔らしいし。
「他にはないの? どこにいるのとかさ」
「うーん……それ以上は見返りを要求しますね。見返り、聞きます?」
「あ、いいです」
舌なめずりしやがった。
怖い。
「そうですか? では、頑張ってください。アドバイスをしますとあなたの知り合いに美を追求する人がいますね?」
美を追求……
マリエル様かな?
「そんなこともわかるの?」
異世界だぞ。
「うーん、私は愛の未来を見ることができるんですよ。それによると、あなたがその人と良い仲になると不幸になります」
「そりゃそうでしょうよ」
不倫じゃん。
ラヴェル侯爵に殺されるわ。
「わかってるなら結構。他にも聞きたいことはないです? 愛のことならいくらでもアドバイスできますよ?」
「結構です」
これは暇だからからかってるだけだわ。
「お待たせしましたー……あれ? どなたです?」
ホクホク顔のルリが大浴場から戻ってきた。
「えーっと……悪魔のロザリー」
「はい?」
ルリが首を傾げる。
すると、ロザリーが立ち上がり、ルリの頭を撫で始めた。
「フフッ、お嬢さん、愛を司る悪魔ロザリーがアドバイスをしますと、男性は所詮、甘え上手で手のかかる女性を好みますよ? 男性はものわかりの良い女性が良いと口では言いますが、結局、最終的に寵愛を受けるのはどっかのバカやポンコツ魔法使いみたいな女です。我慢する子はかわいくないんですよ。得たいなら媚びまくってる2人を見習いましょう。では、私はこれで……もう一回、湯に浸かりながら満天の星空を堪能するとします。皆様方の愛が永遠でありますよう……ごきげんよう」
ロザリーは妖艶に笑うと、大浴場の方に歩いていった。
「何ですか、あれ?」
「知らない。部屋に戻ろう」
俺は持っていた缶酎ハイを一気に飲み干すと、ルリとモニカと共に部屋に戻る。
部屋に戻ると、布団が3つ並んで敷いてあり、ミリアムが飛び跳ねていた。
「ただいま」
「おかえりにゃー。仲居さんが敷いていったにゃ」
「そう。あのさー、そこでロザリーに会ったんだけど……」
テーブルの前の座椅子につきながら報告する。
「は? ロザリー? あのエロシスターにゃ?」
「今日はエロ浴衣姿だったよ」
あの魅了魔法は本当に厄介だわ。
「何やってるんだ、あいつ……」
「湯治だってさ」
「ふーん……魅了をレジストできたにゃ?」
「モニカの手を握ってなんとかね……あの人だけは単独で会いたくないよ。理性が飛びそうになる」
冷静でチキンな35歳なのに……
「サキュバスの上位互換だからにゃー……」
「対抗する魔法はないの?」
正直、まだドキドキする。
「こればっかりはにゃー……魔法は魔法なんだけど、本能に訴えかける魔法は厄介にゃ」
「そうなの?」
「だって、あれ、魅了魔法がなくても良い女だと思うだろ? 抱きたいと思うだろ?」
「まあ、確かに……でも、それは男だから仕方がなくない?」
あの人、本当にすごいし。
「それがレジストの邪魔をするにゃ。レジストしたいけど、レジストしたくない……わかりやすく言えば、徹夜の後に睡眠魔法をかけられたらレジストできないようなものにゃ」
なるほど。
わかりやすい。
でも、俺、そんなに餓えているんだろうか?
「なるほどねー」
「タツヤさん、タツヤさん、オレンジジュース頼んでもいいですか?」
ルリが俺の袖を握りながらルームサービスのメニュー表を見せてくる。
「いいよ。モニカも何か飲む?」
「せっかくですし、いただきます」
「じゃあ、頼むよ」
オレンジジュースと熱燗を頼むと、すぐに飲み物がやってきたので皆で飲み始める。
その後も飲みながら話をしていると、遅くなったので就寝した。
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