表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

142/228

第142話 湯上りで魅力UP中な上級悪魔さん


 部屋に戻った俺達は夕食を食べだす。

 メニューはカニだった。


 俺達は黙々とカニの身を取り、食べているのだが、ミリアムが殻ごとばりぼりと食べているのでその音が部屋に響いている。


「ミリアム、美味しい?」

「美味いにゃ」 


 そっか……

 まあ、好きに食べたらいい。

 猫さんだもん。


 俺はビールを飲みながらカニを食べる。

 ルリは真面目な顔でカニの身をひたすら剥き、皿に身を溜めており、ルリの性格が出ていて微笑ましい。

 モニカはカニの身を剥き、俺と同様にビールを…………いや、この子、めっちゃ飲んでね?

 もうビール瓶が空じゃん。


「モニカ、飲む?」

「あ、はい。いただきます」


 俺は相変わらず、すげーなと思いながら追加注文する。

 その後もひたすらカニを食べ、ビールを飲んでいった。

 そして、夕食を食べ終えると、一息つく。


「美味かったにゃ」

「満腹です」

「リンゴ村周辺は海がないですからこういう食事は久しぶりでした」


 皆、満足しているようだ。

 もちろん、俺も満足している。


「来て良かったね。俺、もう一回風呂に行くけど、どうする?」

「行きます」

「私も行きます」

「私はお前らがなんでそんなに風呂が好きなのかわからないにゃ。汚れなんて魔法でポイにゃ」


 猫さんにはわからないだろうなー……


 俺達はミリアムに留守番を頼み、再び、温泉に行く。

 今回は他のお客さんもいたが、平日ということで年配の方が多く、静かだった。


 俺は温泉を満喫し、風呂から上がると、待ち合わせ場所の休憩スペースで2人を待つ。

 すると、モニカが1人でやってきた。


「あれ? 1人? ルリは?」

「ルリさんはもう少し入るそうです。温泉をかなり気に入った様子ですね」


 お風呂が好きな子だもんなー。


「座りなよ」


 俺はモニカを隣に座らせると、自動販売機で缶酎ハイを2つ買う。

 そして、席に戻り、1つをモニカに渡し、座った。


「ありがとうございます」


 俺達はプルタブを開けて乾杯をすると、飲みだす。


「温泉はどうだった?」

「すごく良かったです。外でお風呂に入るというのは初めての経験ですが、外の寒さと湯の温かさのバランスがちょうどよかったですね」


 モニカも満喫してくれているらしい。


「それは良かった」

「タツヤ様がこういう生活をしたいというのも頷けます。落ち着きますよね」

「だね。ゆっくり生きたいよ」

「はい。そのためにも村の整備を致しましょう」


 俺自身のためでもあるが、村の人達のためでもある。

 頑張ろう。


「新幹線でなく、車で来て良かったよ」

「運転、お疲れ様です。お手伝いできなくてすみません」

「それは仕方がないよ。モニカは免許を取れないし」


 あと、たとえ取れたとしてもちょっと怖い。


「すみません……あ、温泉に入る際に観察しましたが、露天風呂自体はそんなに難しくなさそうです」

「そうなの?」

「お湯さえどうにかできれば、あとは材料が木と石ですからね。揃ってます」


 リンゴ村は森だもんなー。

 材料はその辺にめちゃくちゃある。


「じゃあ、作れそうだね」

「はい。こちらで十分に作れます」

「任せるわ」

「お任せを」


 モニカはそう言って頭を下げると、浴衣の襟を直す。


「浴衣は慣れない?」

「普段がローブですからね。着やすいですし、軽くて楽なんですけど、どうしても気になってしまいます」


 モニカ、大きいしなー。


「無理せずに普通の服でもいいよ?」


 モニカは外出用の服はもちろん、部屋着やパジャマだって持っている。


「いえ、風情を楽しみたいですから」


 まあ、わからないでもない。

 俺自身も浴衣に慣れているわけではないが、こういうところでは浴衣を着たいと思ってしまう。


 俺達はぼーっとしながら酒を飲み、ルリを待っている。

 すると、俺達の対面の椅子に長い黒髪の女性が座った。


 その女性は浴衣をかなり気崩しており、豊満な胸が零れ落ちそうだ。

 さらには足を組んでおり、生足を露出している。

 それでいて、顔は美しく妖艶に笑っていた。


 俺はそんな女性を見て、抱き着きたくなり、腰を少し浮かした。


「…………いや。いやいや」

「どうしました? 来てもいいんですよ?」


 黒髪の女性がフフっと笑う。


「ロザリー……」


 対面に座っている魅力たっぷりの女性は愛を司る上級悪魔ロザリーだった。


「お久しぶりです。温泉で癒しにきました? 心も体も……フフッ」


 ロザリーはモニカをチラッと見た後に笑う。

 その表情はすごくエロく、すぐにでも部屋に連れ込んで押し倒したくなる。


「タツヤ様、この方は?」


 モニカが怪訝な顔で聞いてきた。


「悪魔教団の悪魔であるロザリーだよ。前に話した教会にいた人」

「この人が……」


 モニカがロザリーを見る。

 すると、モニカからわずかに魔力を感じた。


「おやめなさい。あなた程度の魔法使いでは私には勝てません」


 ロザリーがモニカを制する。


「モニカ、やめて」


 モニカでは絶対勝てない。

 というか、モニカは攻撃魔法も使えないから無理に決まっている。


「すみません……」

「いや、悪いけど、手を繋いでくれる?」

「え? あ、はい」


 モニカが俺の手を取った。


「ふむふむ。女性で対抗するのは良い手ですよ。あなたは優秀な魔法使いですが、所詮は男です。私の魅了魔法を完全にレジストはできません。今日は抱き着いてくれるあの子もいませんしね」


 キョウカね。

 抱き着くというより、腕をめっちゃ掴んでいた。

 痛かったが、その痛みで対抗できた。


「ロザリー、こんな所で何をしている?」

「湯治ですかね? まあ、それはいいじゃないですか。そんなことよりもあなたから女難の相が消えています…………上手くやりましたね」


 マジ?

 ちょっと嬉しいぞ。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【販売中】
~書籍~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(2)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

― 新着の感想 ―
[一言] この方とは、仲良くやってて良い気がする 少なくとも好戦的ではないし、人間生活を楽しんでるから そのうち異世界関係がバレて、使い魔になってくれる未来とかありそうだよね、気まぐれだから何が琴線…
[一言]  女難の相がそのままだったらいずれあの斬れない刀で斬られてたんだろうか・・・
[一言] 女難を視てくれる有能悪魔さん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ