表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

121/229

第121話 なんで知ってるの?


 モニカ、ミリアム、ダリルさんがいなくなったのでこの場にはルリとキョウカとユウセイ君が残っている。


「2人共、本当に手伝ってくれるの? 低級悪魔かもしれないけど、相手は剣を持っているよ」

「大丈夫、大丈夫。剣はさすがにないけど、武器を持っている奴と戦ったことは何回もあるし」


 本当に別世界の人間なんだな。

 まだ高校生なのに。


「キョウカも?」

「何も問題はないね。前にも言っただろう? 私は得意なんだ」


 本当に何が得意なんでしょうねー……

 いやまあ、一つしか浮かばないけどさ。


「ルリは大丈夫?」

「問題ありません」


 ルリは俺より魔法が使えるし、大丈夫か。


「あ、タツヤさん、一回家に帰っても大丈夫ですか? 服が汚れたら嫌なので着替えてきたいんです」


 汚れる……

 女の子らしいセリフだと思うのだが、キョウカが言うと返り血にしか聞こえないのは何故だろう。


「いいよ」

「それとタツヤさんの部屋も借りても良いですか? 着替えたいので」

「それもいいよ。あ、悪いんだけど、家の鍵を閉めておいてくれる?」


 ポケットから鍵を取り出して渡す。


「わかりました。では、一回戻ります」


 キョウカは鍵を受け取ると、裏口から出て、家に戻っていった。


「もう結婚しちゃえよー」


 ユウセイ君がからかってくる。


「なんで?」

「鍵のやり取りが夫婦っぽかったって思って」


 そうかな?


「ユウセイ君は着替えなくていいの?」

「俺はキョウカと違って人を斬らないから返り血を浴びない」


 やっぱりユウセイ君も返り血って思ったんだ……


「ルリは俺のそばにいるんだよ」

「お任せを。必ずやお守りします」


 逆のつもりで言ったんだけど、まあいいか。


「じゃあ、門の前に行こうか」


 俺達は家を出ると、門のところに戻る。

 すると、門の近くにはコーディーさんだけが残っていた。

 すでにダリルさんが指示をしてくれたのだろう。


「寒いです……」


 門の前で待っていると、ルリがくっついてくる。

 ルリは寒がりだからきついのだろう。


「焚火でも起こそうか」

「あ、薪を持ってくるわ」


 コーディーさんがそう言ってこの場を離れると、すぐに薪を抱えて戻ってきた。


「使ってくれ。薪はいくらでも在庫があるからな」

「いっぱい伐採しましたしね」


 コーディーさんがそのまま薪を並べてくれたので魔法で火を点ける。

 そして、全員で火に当たった。


「暖かいです」

「だねー」

「焼き芋食べたいな」


 この子は本当にそればっかりだな。


「コーディーさん、ここはもう俺達だけで大丈夫なんで村の見回りの方をお願いします」

「わかった」


 コーディーさんは頷くと、リンゴ園の方に向かう。

 俺達がその後も焚火に当たりながら待っていると、向こうからキョウカが歩いてきているのが見える。


「ユウセイ君さ、袴姿の少女が見えるのは気のせい?」

「気のせいじゃないな。マジもんのコスプレで来やがった」


 キョウカはいつものポニーテールだが、白い胴着で黒い袴を穿いていた。

 そして、腰には刀が……


「お待たせしました。寒いですねー」


 キョウカは何事もなかったように焚火に当たる。


「お姉ちゃん、かっこいいですね」

「そう? ありがとー」


 確かにかっこいいと思う。

 でも、似合いすぎだ。

 これで人斬りキョウカちゃんになったらちょっと怖い。


「キョウカ、それ、どうしたの?」

「剣術の練習をする時に着るやつです」

「へー……」


 そんなのあるんだ……


「似合いません? 親族にも好評なんですけど」

「いや、似合ってるよ。ものすごく似合っているし、似合いすぎているくらいだ」


 ポニテだし。


「えへへ。嬉しいです」


 うん……まあいいか。


 俺達がその後も焚火に当たっていると、次第に空が茜色に変わりだす。


「日が短いなー。まだ4時過ぎだぜ?」

「仕方がないでしょ」


 冬なんだから。


「タツヤさん、モニカさんとミリアムちゃんです」


 キョウカが袖を引っ張ってきたので見てみると、確かに昼に見た光景と同じくミリアムを抱えたモニカがこちらに近づいてきた。


「ただ今戻りました」

「戻ったにゃ」


 2人はこちらに来ると、焚火に当たりだす。


「お疲れ。マリエル様は何て?」

「すぐに動くそうです。相手が盗賊や悪魔の可能性があるならクロード様に軍を出すように王家に頼むそうです。王家、貴族は盗賊や悪魔に敏感ですのでクロード様もすぐに軍を出してくださると思います」


 そうなのか……


「でも、時間がかかるよね?」


 王都とハリアーの町はかなり離れているし、鳩でも飛ばすんだろうか?


「一応、王家と各貴族の家には電話のような魔道具がありますので指示は早いかと。ただ、軍を編成するのと単純にハリアーの町からここまでは距離がありますので来ても夜でしょうね」


 電話があるんだ……

 といっても援軍は夜か。


「それまで待機した方が良いね」

「それがよろしいかと。ただ、その前に向こうが攻めてくる可能性の方が高いです。何しろこの寒さですしね」


 外の連中は薄着というか穴が空いているような服だった。

 それに空間魔法を使えるかはわからないが、野営をできるような装備はなかったと思う。


「いつ戦闘になるかわからないし、注意しておこう」

「タツヤ様、申し訳ありませんが、戦闘となれば私はお役に立てません。そういうわけで夕食でも買ってきます」


 いつ戦闘になるかわからないんだから食べられる時に食べておくか。


「わかった。悪いけど、コンビニで適当に買ってきてくれる? 財布は俺の部屋にあるから。場所はわかる?」

「わかります。では、適当に買ってきますので……」


 モニカがそう言ってこの場をあとにすると、キョウカが俺の腕を取り、身を寄せてくる。


「どうしたの? 寒い?」

「いえ……別に……」


 何だろうと思い、他に皆を見るが、誰も目を合わせてくれなかった。


お読み頂き、ありがとうございます。

この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。


よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】
宮廷錬金術師の自由気ままな異世界旅 ~うっかりエリクサーを作ったら捕まりかけたので他国に逃げます~

【予約受付中】
~漫画~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)

【新刊】
~書籍~
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(1)
左遷錬金術師の辺境暮らし 元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました(2)

【販売中】
~書籍~
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(1)
35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~(2)

【現在連載中の作品】
その子供、伝説の剣聖につき (カクヨムネクスト)

週末のんびり異世界冒険譚 ~神様と楽しむ自由気ままな観光とグルメ旅行~

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~

バカと呪いと魔法学園 ~魔法を知らない最優の劣等生~

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~

最強陰陽師とAIある式神の異世界無双 〜人工知能ちゃんと謳歌する第二の人生〜

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~

【漫画連載中】
地獄の沙汰も黄金次第 ~会社をクビになったけど、錬金術とかいうチートスキルを手に入れたので人生一発逆転を目指します~
がうがうモンスター+
ニコニコ漫画

廃嫡王子の華麗なる逃亡劇 ~手段を選ばない最強クズ魔術師は自堕落に生きたい~
カドコミ
ニコニコ漫画

35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~
カドコミ
ニコニコ漫画

左遷錬金術師の辺境暮らし ~元エリートは二度目の人生も失敗したので辺境でのんびりとやり直すことにしました~
ガンガンONLINE

【カクヨムサポーターリンク集】
https://x.gd/Sfaua

― 新着の感想 ―
家の中から施錠するのに鍵渡す必要ないでしょ 逆にモニカは鍵のこと聞かずに買い物行ったけどすでに持ってるんだろうか
【良い】 キョウカとの鍵のやり取りの前フリがあったのでピンときた! 回りが目を合わさないのは優しさだよ(多分知らんけど)。 >「わかった。悪いけど、コンビニで適当に買ってきてくれる? 財布は俺の部屋に…
[気になる点] その刀は人を斬れます?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ