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第012話 ルリ「タツヤさーん……」


「いくらくらいなんですか?」

「固定給で月に50万円です」


 は?


「あ、あの、50万円ですか?」

「はい。これに加えて、悪魔を倒した査定が加わります」


 歩合!?

 え? ちょっと待って!


「あの、その月に悪魔を倒せなかった場合は?」

「残念ながら50万円ですね」


 残念!?

 この人、残念の意味をわかっているのか!?

 それはつまり、何もしなくても50万円がもらえるってことだぞ!


「あの、それはいいんですか?」

「あ、一応ですが、強制依頼というのもあります。何かの非常事態やあまりにも仕事をしないとこういうこともします。実を言うと、この茶封筒はその勧告だったのです」


 そう言って、この家に届いた封筒を取り出した。


「あ、そういうことですか」

「はい。タダシさんはここ1年、何も成果がありませんでした。だからですね」


 今時、茶封筒……

 あ、いや、爺さん、携帯を持っていなかったわ。


「あの、適度に悪魔を倒せばいいんですか?」

「そうなりますね。人には人のペースがありますから」


 適当にやっていれば月給50万プラスアルファか……


「それはすごいですね」

「まだ終わっていません」

「え?」


 何が?


「この50万円というは最低ランクです」

「ランクと言いますと?」

「どのレベルの悪魔をどれだけ倒したかどうかの査定があるんです」


 つまり……出世!


「詳しく教えてください」


 ドキドキ!


「我々には等級があります。わかりやすく9級から1級ですね。山田さんが入れば新人ですので9級からスタートです。これが先程の固定給50万円なのです」


 最低で50万円ってそういうことか。


「等級が上がれば固定給も上がるんですか?」

「そうなります。8級で80万円です」


 一気に30万も!?

 俺の月給より上がってるぞ!


「そ、そんなに上がるんですか?」

「この程度で驚いてはいけませんよ? 7級で100万、6級で200万、5級で300万、4級で500万、3級で1000万、2級で3000万です」


 上がり方がヤバい!

 これ年俸じゃないよね?

 月だよね?


「あの1級は?」


 そう聞くと、何も答えずに人差し指を立てた。


「1億……」


 すごい……


「あの、なんでそんなにもらえるんですか?」

「それほどまでに人材が足りないのです。こればっかりは勉強しようが良い大学を出ようが関係ありません。高卒のプロ野球選手が何億ももらっているようなものです」


 野球は知らんが、すごいことだけはわかった。


「す、すごいですね……」

「まだ終わっていません」


 まだぁ!?

 まだあるの!?


「え、えーっと?」

「歩合の話をしていません」


 あ、歩合……

 悪魔を倒せばプラスアルファ……


「どれくらいなんですか?」

「具体的な額はこの場では言えません。調査員が悪魔のランクを決め、その都度ですから。でも、これをお渡しします」


 桐ヶ谷さんはそう言って、茶封筒を机に置き、差し出してくる。


「こ、これは?」

「これは先日、山田さんが倒された悪魔の褒賞金です。この話を受ける受けないは別としてお受け取りください」


 そう言われたので茶封筒を手に取り、覗いてみる。


 ひい、ふう、みい……

 1万円札が10枚入っていた。


「え? こんなに?」

「あれは最低級の悪魔でした。ですので、それが最低の褒賞金です」


 最低で10万……

 あのよわっちい悪魔で10万。


「ちなみに、他は?」

「私の話をすれば、先日、100万円の褒賞金を得ました」

「あ、あの、桐ヶ谷さんの等級は?」

「私は4等級です」


 つまりこの人は今月、固定給500万円プラス褒賞金100万円で600万円を得ている。

 いや、倒した悪魔が1匹とは限らない。


「どうです? ハイクラス転職してみませんか?」


 俺が中間管理職として頑張った年収をこの人は月給で軽く超すんだ……

 すごい……

 すごすぎる。

 そして、俺もここまでとは言わないが、給料が圧倒的に増えるすべがある。


「わ、私の祖父は?」

「あの方は7等級でしたね」


 あれ?

 大魔導士様だよ?


「そんなものですか?」

「あまり熱心には働いていませんでしたから。実力は飛び抜けているように見えましたし、もう少し働いたらどうだと言ったことがありますが、他にやることがあるって言ってましたね」


 あ、魔法の研究か。

 でも、これで爺さんの謎の金の出所がわかったな。

 タイマー協会で適当に稼ぎ、魔法の研究をしていたんだ。

 そりゃずっと家にいるのにこの家を買ったり、財産も持っていたわけだわ。


「なるほど……」

「今日は説明だけでもと思っています。人生を決めることですし、ゆっくり考えてもいいでしょう。良いことだけを言ってますしね」

「すみません。悪いことも聞いておきたいです」


 実際、金に目がくらんでいる自覚はあるし。


「では、説明します。と言っても、よく考えればわかることです。相手は悪魔。すべての悪魔がこの前の悪魔のように弱いとは限りません。下手を打てば死にます。そして、こういう職種ですので死んでも責任は取れません」


 給料が高い理由か……


「ですよねー……」

「あなたには小さい子がいます。年齢のこともあるでしょう。その辺も考えて答えを出してください。結論は急ぎません」


 そうだな……

 冷静に考えないといけない。

 こういうことは一度持ち帰って検討すべきだ。


「はい。わかりました。よろしくお願いします」


 ん?


「はい?」

「退魔師として頑張りたいと思います!」


 あれ?


「も、もう決めるんですか?」

「はい! 揺るぎません!」


 おい……

 俺、どうした?


「わ、わかりました。では、そのように進めます」

「よろしくお願いします」


 考えていることとしゃべっていることが違うぞ?

 どうなっている?

 まさか、悪魔のせい!?


「にゃー……」


 ミリアムの鳴き声がしたのでミリアムを見てみると、ものすごい悲しいものを見る目で俺を見ていた。

 ハッと思い、後ろを振り向くと、ルリが扉を少しだけ開け、ものすごい悲しいものを見る目で俺を見ていた。


お読み頂き、ありがとうございます。

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