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第114話 冬休み


 翌日の25日。

 俺は朝早くから家を出ると、ユウセイ君の家に向かっていた。

 キョウカも迎えにいくのだが、家の位置的にはまずユウセイ君なのだ。


 車を走らせ、ユウセイ君の家があるマンションに着くと、メッセージを送る。

 すると、しばらくしてユウセイ君が降りてきて、いつものように後部座席に乗り込んできた。


「おはよー。昨日はどうだった? まさかプレゼントを渡せなかったみたいなオチはないよな?」


 いきなりの挨拶である。


「ちゃんと渡したよ。相談に乗ってくれてありがとうね」


 ただ、ネックレスは重くないかと思わないでもなかったが、これ以外はあり得ないと言われたのでネックレスにした。


「いいよ。第三者は気楽なもんだし」

「だろうねー。キョウカの家に行くよ」

「頼むわ」


 俺は車を発進させ、昨日も行ったキョウカの家に向かう。


「ユウセイ君さー、キョウカから何か聞いてる?」

「何かって?」

「えーっと……いや、やっぱりいいや」


 何て言えばいいのかわからない。


「山田さん、俺、あんたらが目の前でイチャついても気にしないし、見ないふりをするから」

「……なんでそう思うの?」

「んー? 付き合うことになったんじゃないのか?」


 えー……


「いや、そういうわけじゃないけど……」

「クリスマスイヴに2人で出かけておいて何もなかったの? ネックレスなんて贈ったのに?」


 ネックレスは君が勧めたやつでは?


「いやまあ、何もなかったわけではないよ」

「あー……キョウカにコクられたけど保留にした? 年齢が気になって?」


 エスパーかな?


「まあ、そんな感じ? あのさ、よくわかるね」

「そりゃキョウカを見ていればわかるよ。べったりじゃん。いつも仲良く並んでコタツに入っているじゃん」


 まあね……


「一過性のものだと思うんだけどなー」

「ないない。キョウカだよ? あいつ、動く時はガチ」

「そっかー……」

「で? どうするの? 俺的には付き合えばいいじゃんって思ってる。というか、いつもさっさとくっついちゃえよって思ってた」


 この子、関わらないようにしていたけど、そんなことを考えていたんだ……


「マズくない? 35歳と女子高生だよ?」

「マズいけど、山田さんならいいじゃねって思うな。別に遊びじゃないだろうし、ヤリ捨てするわけじゃないでしょ?」


 ヤリ捨てって……


「そりゃそうでしょ」

「じゃあ良いんじゃね? 確かにキョウカが知らないおっさんと付き合うって言ったらちょっと気になるけど、山田さんは真面目だし、問題ないと思うな。親御さんからの心証も良いでしょ」


 そうかねー?

 しかし、誰も反対せんな……

 俺がおかしいのか?


「俺がキョウカと付き合ったら引く?」

「なんでだよ。山田さんの状況を端的に言おうか? 血の繋がっていないうえに戸籍もない10歳くらいの女の子と同棲し、金髪で巨乳のねーちゃんを侍らせている男だぞ」


 あ、俺、すでにヤバいんだ……

 しかも、最近はそんな10歳くらいの子と一緒に寝ている。

 アウトだわ。


「なるほどね……客観的に見ると相当ヤバいわ」

「だろ? でも、そんなことないのはわかっているし、キョウカだってどちらかというとキョウカがぞっこんじゃん。あいつ、結婚する気満々だと思うぞ」

「そうなの? 実はそんなことも言ってたけど……」


 それくらいに好きだというアピールかと思ってた。


「前に言ったじゃん。俺らみたいの家だと恋人がいれば早く結婚しろの大合唱。山田さんの年齢を考えるとさらにだろうな」


 35歳か……

 子供のことかね?

 気がはえー……


「ユウセイ君も早めに結婚するの?」

「彼女いないからなー……でも、20歳を超えたらお見合いやらなんやらじゃないかな? まあ、先の話は知らね」

「ちなみに、それはキョウカも?」

「女は特にじゃないかな? 俺の従姉のねーちゃんは22歳の大学生だけど、毎月のようにお見合いしてる。金持ちが全然いないって愚痴ってた」


 世界がまったく違う……


「参考になったよ」

「もっと気楽に考えたら? キョウカのことを嫌いじゃないんだろ?」

「まあねー」

「適当に生きなよ。あ、ちゃんと協会には黙っておくから」


 適当ねー……


「わかった。相談に乗ってくれてありがとうね」

「いいよ。第三者は気楽だもん」


 だろうね。


 俺とユウセイ君が話をしていると、キョウカのマンションに到着した。

 そして、キョウカにメッセージを送ると、すぐに降りてきて車に乗り込んでくる。


「お待たせしましたー」


 今日のキョウカはパンツスタイルで足は出していない。

 ただ首にはきらりと光るものを着けていた。

 もちろん、それは俺が昨日あげたネックレスだ。


「キョウカ、ちゃんと美味いものを作れよ」


 後部座席のユウセイ君がからかうように声をかける。


「わかってるよ。というか、ユウセイ君、なんでいるの? 夕方からじゃなかった?」

「暇だし、コタツで寝ながら待ってる」

「いいご身分だねー。まあ、手伝うって言われても邪魔なだけだけど」


 そもそもウチのキッチンはそこまで広くない。


「だろー? どうせ家にいてもやることないからなー……」

「実家の手伝いってやつは?」


 先週、キョウカがそんなことを言っていた。


「んー? ああ、それは終わった。後は年末まで休みだよ」


 ん?

 あ、そうか。


「君らってもしかして、もう冬休みに入ってる?」

「そうですよ」

「2週間しかないけどなー。一月くらい欲しいわ」


 こう聞くと、学生って感じがするな。

 まあ、俺は年中、ほぼ休みだけどさ。


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― 新着の感想 ―
[一言] 更新ありがとうございます!
[一言] 2週間の休みなんてファンタジーだなぁ(おじ並感)
[良い点] さりげなくとキョウカちゃんに指示されたのにガッツリネックレス勧めてたみたいで草
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