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35歳独身山田、異世界村に理想のセカンドハウスを作りたい ~異世界と現実のいいとこどりライフ~  作者: 出雲大吉
第3章

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第111話 戦争


 夕方になると、キョウカとの買い物を終え、キョウカを家に送り届ける。

 そして、家に戻ると、ルリは夕食の準備をしており、モニカはコタツに入って待っていた。


「おかえりなさいませ」


 モニカは笑顔で声をかけてくると、立ち上がり、俺と共に自室に入る。


「ただいま。仕事は終わり?」


 部屋着に着替えるために服を脱ぎながらモニカに聞く。

 すると、モニカが手を伸ばしてきたので脱いだ服を渡すと、その場でたたみ始めた。


「はい。最近はあまり仕事がありませんね。良いことなんですが、かなり安定してきました」


 本当に良いことだ。


「マリエル様は?」

「リンゴと保湿クリームを渡しました。また、髪質が変わっており、そのことについて、かなり喜んでいましたね」


 それは良かった。


「これで貴族はなんとかなりそうだね」

「はい。問題ないでしょう」


 当分はゆっくりできそうだな。


「年が明けたらさらに村の整備をしようか」

「はい。今後のことを考えると、リンゴ園ももう少し広げた方が良いかもしれません」

「わかった」


 服を着替え終えると、モニカと共にリビングに戻り、コタツに入った。


「モニカ、前にも言ったけど、来週の日曜は空けておいてね。パーティーをするから」


 対面に腰かけたモニカに言う。


「ええ。クリスマスですっけ? 宗教のお祭りですよね?」

「宗教要素はゼロだけどね。単純なパーティーだよ。年末も近いし、お疲れ様会を兼ねているとでも思って」


 今年は忘年会もないだろうしなー。

 協会からも何も連絡がないし、やらないのだろう。


「わかりました。土曜日はキョウカさんとお出かけでしたね?」

「そうなるね」

「つかぬことを聞きますけど、ケーキバイキングに行くんでしたよね? 25日もホールケーキを予約されていましたが、大丈夫なんです?」

「さあ? 俺は厳しいかもしれないけど、キョウカは本能に従うって言ってたね」


 翌週から走るんだろうか?


「まあ、一人で食べるわけでもないでしょうし、大丈夫だとは思いますけど」


 どうかなー?

 キョウカ、甘いもの好きだし。


「モニカも食べなよ」

「いただくつもりではいますが、私は小食なので」


 モニカは本当に少食だ。

 しかも、ゆっくりと味わって食べる。

 別にのろまということではない。


「ルリがかなり気合を入れているからなー」

「確かにタブレットで色々見てますね」


 ルリは料理をするのも好きだからな。


「まあ、ユウセイ君が食べるでしょ。余っても日を空けて食べるよ」

「それがよろしいかと」


 多分、ローストビーフは余らないだろうけどなー。


「ご飯ができましたー」


 ルリが皿を持って、キッチンから出てくる。


「あ、手伝うよ」

「私も」


 俺達はその後、夕食を食べ、いつものように各自が思い思いに過ごした。


 翌日の日曜日は家で過ごし、翌週も村に行ったり、夜に退魔師の仕事をしながら過ごしていく。

 ただ、一日だけ一人で買い物には行った。

 もちろん、プレゼントを買うためである。

 かなり選ぶのに苦労したが、この前、キョウカが言っていたように女性に贈るものは自分で悩んで贈ろうと思い、時間をかけて選んだ。

 まあ、ユウセイ君には相談に乗ってもらったけど。


 そして、あっという間に1週間が経ち、24日の土曜日となった。

 この日も天気が良く、お出かけ日和だと思う。


「じゃあ、行ってくるよ。夕方には帰るから」


 俺は出かける準備を終えると、コタツから動こうとしないルリとミリアムに声をかける。


「え? 帰ってくるんですか?」

「泊まりじゃないのか?」


 えー……


「いや、ケーキバイキングに行くだけだよ。その後ちょっと出かけるかもだけど、夕方には帰る」

「そ、そうですか。じゃあ、夕食を作って待ってます」

「泊まらないにしても遅くなる時は言うにゃ」

「はいはい」


 俺は適当に返事をすると、家を出て、車に乗り込む。

 そして、キョウカの家に向かった。


 キョウカの家に着くと、この前と同様にメッセージを送り、車内で待つ。

 すると、すぐにキョウカがマンションから出てきた。


 キョウカはいつものポニーテールではなく、髪を上げて纏めている。

 さらには白のニットワンピースを着ており、寒いのに足を出していた。


「お待たせしましたー。寒いですねー」


 いや、そんなに足を出したら寒いでしょうよ。

 当たり前だが、そんなことは口に出して言えない。

 言ったらおっさん確定。


「ホントだよね。あ、暖房の温度を上げようか?」

「大丈夫ですよー」


 キョウカがニッコリと笑う。


「そう? キョウカが髪を上げているのを初めて見たけど、かわいいね」


 これが最適解。

 服装は何も言えない。

 どう言ってもなんか悪い気がする。


「ありがとうございます。服も新調したんですよー。お父さんがテストを頑張ったご褒美にお小遣いをくれました」


 お父さん、よほど嬉しかったんだな……

 しかし、これで触れないといけなくなった。


「似合ってるよ。すごくかわいい」


 俺、似合ってるとかわいいしか言ってないな……

 以前、マリエル様に褒めるのが下手と言われたが、自分でもそう思う。


「えへへ。ありがとうございます」


 まあ、キョウカは喜んでくれているようだからいいか。

 この子は単純……じゃない、素直だから言葉を言い繕うよりも本音を言った方が喜ぶだろう。

 多分……


「じゃあ、行こうか」

「はい。戦地に参りましょう!」


 ケーキバイキングだよね?


 俺は車を発進させ、ケーキバイキングをやっているホテルに向けて出発した。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 戦争ってそっちかwww
[一言] 空いてる時も人気のケーキは状況開始レベルなのに、クリスマスのケーキバイキングだなんて…… 山田さん、骨は拾ってあげますね
[良い点] 面白いと思うけどなあ まあ、人好き好きだから
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