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第103話 王都へ


 キョウカとユウセイ君のテストが終わり、土曜日になった。

 昨日はキョウカからテンションの高いメッセージが立て続けに届いており、よほど嬉しかったと思われる。

 まあ、当然ながらそれは俺も経験してきたことなので気持ちはすごくわかる。


 そして、今日は朝からモニカがリビングにおり、キョウカを待っていた。

 今日は王都に行き、ラヴェル侯爵夫人のマリエル様と会う日なのだ。


 俺達がコタツの中に入っていると、チャイムが鳴ったので玄関に向かう。

 玄関を開けると、満面の笑みのキョウカが立っていた。


「おはようございます! 今日もいい天気ですね!」

「そうだねー。寒かったでしょ。入りなよ」

「お邪魔します!」


 テンション、たけー……


 キョウカと共にリビングに戻ると、ルリがキョウカにお茶を淹れる。


「ルリちゃん、ありがとー。いやー、寒かった。タツヤさん、一回、私の部屋に来ません? そしたら転移で迎えに来れます」


 それ、色んな意味でヤバいだろ。


「ダメに決まってんじゃん」

「ハァ……私も転移を覚えたい……毎朝スカートで学校に行くのが辛い」


 女子は寒そうだもんな。


「ジャージ穿いたら? 俺らの時はそういう女子もいたよ」

「ダサいからないです。何かを穿くとしてもタイツですかねー?」


 女子って大変だなー……


「風邪引かないようにね」

「大丈夫ですよ。私は風邪を引いたことがないんです。超健康です」


 そ、そっか……


「良いことだね」

「はい……まあ、タツヤさんが思っている通り、バカだからでしょうけどね」


 エスパー……


「テストはどうだったの?」

「はい。おかげさまで過去一の出来です! 60点はあるんじゃないですかね? 苦手の数学も50点はあります!」

「頑張ったねー」


 そう言いながら膝の上のミリアムを撫でた。

 ホントに頑張ったね……


「木曜辺りの記憶が微妙なんですけどね。それよりも、今日は王都ですよね? いつ行くんです?」

「もうちょっとしたらかな? あ、でも、キョウカは着替えがあるか……ミリアム、モニカとキョウカを先に連れていってもらえる?」

「わかったにゃ。2人共、行くにゃ」


 ミリアムがぴょんと俺の膝の上から飛ぶ。

 すると、キョウカとモニカも立ち上がった。


「はい。奥様、向こうで部屋と着替えを用意していますので」

「えーっと、私はどんな感じでいけばいいんです? おほほって言えばいいんですかね?」


 おほほって……

 マダムかい……


「普通で結構です。マリエル様は寛容な方ですので多少の無礼は許してくださいます。とはいえ、基本的にはマリエル様が質問してこない限り、私かタツヤ様が答えますので笑顔で頷いておいてください」

「私、それ得意です」


 知ってる。

 人斬りキョウカちゃんさえ出てこなければ大丈夫。


「では、ミリアムさん、お願いします」

「わかったにゃー」


 ミリアムが頷くと、3人の姿が消えた。


「じゃあ、俺も着替えてくるよ」


 俺も立ち上がると、自室に行き、部屋着からスーツに着替える。

 そして、リビングに戻ると、ミリアムが戻ってくるのをルリと一緒に待つことにした。

 ルリはじーっと、テレビのワイドショーを見ている。


「ルリさ、楽しい?」

「楽しいです。最近、不倫のニュースが多いですね」

「そうだねー。でも、どこかに出かけたいとかないの? せっかく車を買ったわけだし、連れていけるよ?」


 今日も留守番だし。


「うーん……特には浮かびませんね。私は部屋で家事をしたり、タツヤさんのお世話をする方が好きですから」

「そう?」

「あー、でも、露天のお風呂に入りたいですかねー? 風情があって、良いと思います」


 それはいいな。

 俺も行きたい。


「行く?」

「いいんですか?」

「うん。ミリアムも連れて、一緒に行こうよ」

「はい!」


 ルリは嬉しそうだ。


「ちなみに、釣りに行く気はない?」

「興味はありますけど、春になったらにします」


 この子、寒いのが苦手だからなー……

 外に出たくないのも温泉に行きたいのもそれが理由な気がする。


「戻ったにゃー」


 ルリと話をしていると、一人でミリアムが戻ってくる。


「着替えは?」

「終わったにゃ。お前に忠告しておくと、キョウカを見たら似合っているよって言うにゃ。間違ってもコスプレみてーとは言うにゃ」


 コスプレなんだろうなー……

 まあ、それは仕方がないだろう。

 高校生の日本人なんだから。


「わかったよ」

「じゃあ、行くにゃ。終わったら適当な時間に帰るにゃ」

「ん」


 俺はミリアムを抱えると、頷く。


「いってらっしゃい」


 ルリがそう言うと、視界が変わり、どこかの家の中のようだった。

 部屋はロクに家具もないし、置いてあるのはテーブルとタンスだけだ。

 ただし、部屋には見た目麗しい2人の女性が立っていた。

 1人はモニカであり、もう1人は赤と白を基調としたローブを着ているキョウカだ。


 ローブを着たキョウカは可愛らしく、非常に似合っていると思う。

 思うんだが……確かにコスプレだな……

 ミリアムに忠告されていなかったらそう言ってそうだわ。


「キョウカはそういう格好も似合うね。かわいいと思うよ」

「えー、そうですかー? ありがとうございます。でも、刀を持つと、ソシャゲのキャラっぽくないですか?」


 キョウカがそう言って、刀を抜く。

 確かにそう見えないこともないが、それは刀が悪い。


「大丈夫だよ。刀はやめてね。お偉いさんだよ?」

「わかってますよ。私は山田キョウカ、25歳。趣味はお花を愛でることです」


 橘キョウカ、16歳。趣味は人斬りと漫画と甘いものを食べることじゃん。


お読み頂き、ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
異世界部分にまでキョウカ嬢が出張ってきてしまったのでここで脱落
[一言] 更新ありがとうございます!
[良い点] キョウカちゃんのタツヤからの評価徐々に上がって来てるし距離も近くなってて良いね、はよ手を出せ!
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