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更なる不可解な出来事…どうなっているのかしら?

翌日、学園へ行ってみれば、凄い形相をしたイレーヌ・ビステモンテ公爵令嬢が取り巻き達と、リリアーナの傍に近づいて来た。彼女は何故かいまだ婚約者がいないレオンフィード皇太子に入れ込んでいる有名な美人公爵令嬢だ。


「ちょっと、リリアーナ。貴方…」


イレーヌが何か言いかけたのだが、慌てたように後ろを振り向いて、こちらも美人で有名なメリアンナ・サバン公爵令嬢がイレーヌの背後からにっこり微笑んでいて。


「リリアーナ。イレーヌ様はご挨拶をしたいそうよ。わたくし、メリアンナ・サバンと申します。以後、お見知りおきを。」


「リリアーナと申しますっ。いえ、とんでもないですっ。私みたいな伯爵令嬢が。」


イレーヌは凄い不機嫌な顔で。


「イレーヌ・ビステモンテ公爵令嬢よ。貴方、わたくしの事は良くご存知でしょう。」


「それはもう、有名ですから。」


「でしたら…」


又、何か言いかけたのだが、慌てたように後ろを振り返って、メリアンナの顔を見る。

メリアンナは上品に微笑んでいて。


「それでは参りましょう。皆様。リリアーナ、ごきげんよう。」


イレーヌと、メリアンナは取り巻き達と共にその場を去っていってしまった。


イレーヌ様は何を言いたかったのかしら。背後にいたメリアンナ様の事も気になる…。

昨日から不可解な出来事ばかり起こっているような気がするんですけど…

すると、婚約破棄をしてきた元婚約者のギルバート・カーソン伯爵令息がこちらへ歩み出した途端に、二人の伯爵令息だと思うが、ガシっと両脇にギルバートを拘束して、引きずっていった。


一体全体何がどうなっているのかしら?


そして昼休み。


いつもの如く、食堂へ行き、列へ並ぼうとすると、

レオンフィード皇太子が、窓際の席から立ち上がって、近づいて来て、


「奇遇だな。共に昼食を食べないか?」


「ええええ?いやその、いつも皇太子殿下は窓際で取り巻きの皆様とお食事なさっているではありませんか?」


レオンフィード皇太子の取り巻きとは、宰相の息子のリガル・モーリス公爵令息と、騎士団長の息子レッド・カーソル公爵令息である。


「でも、せっかくこうして出会ったのだ。共に食事を楽しもうではないか。」


強引に連れていかれて、

皇太子殿下達が食べているのは、特SS皇宮御用達定食だ。それが、リリアーナの前にも置かれる。


レオンフィード皇太子は爽やかな笑顔で。


「さぁ、食べたまえ。」


「頂きますっ。」


いやもう、食事は豪華で美味しいんですけど、何故、こういう不可解な事が起こるのか…いまだに良く解らない。


いつの間にか取り巻きのお二人は特SS定食を持って席を外していなくなっていて二人になっているし…


レオンフィード皇太子はにこやかに。


「君に又、会えて俺は嬉しい。食事は美味しいかね?」


「美味しいです…。」


ふと、耳にバイオリンの美しき調べが聞こえてくる。


音楽教師の先生二人が、横に立ってバイオリンを奏で始めたのだ。


リリアーナはびっくりして、


「何事です?先生っ???」


レオンフィード皇太子は、ステーキを切りながら、


「命じさせた。リリアーナとの素敵な昼食の為に。気に入ったか?」


「えっ…ええええええっ、まぁ…」


何だか空恐ろしい事になっているような気が。


「それはそうと、リリアーナ。今度の週末の土曜日は暇か?」


「あの…。ちょっと用事がありまして、申し訳ございませんっ。」


用事と言うのは、姉と共に楽しみにしていた劇を見に行く用事なんですけどね。

リーナ皇女の恋。そこに出て来る皇妃の役の方が凛々しくて、ファンなので。


非常に残念そうな顔をしているような…レオンフィード皇太子殿下…。


「申し訳ございませんっ。私のような伯爵令嬢がっ…」


「いや、構わぬ。又の機会に…」


しかし、リリアーナはレオンフィード皇太子の恐ろしさをこの時、まだ甘く見ていた。



その日、屋敷に帰ったら早々、姉が。


「ごめんなさい。今度の土曜日の劇、私、行けなくなってしまったの。だから一人で行って頂戴。」


「ええ?一人で?」


「貴方楽しみにしていたでしょう?」


「解ったわ。残念だけど、お友達でも誘おうかしら。」


隣の伯爵家のデリアは仲が良い友達だ。


伯爵家に行って、デリアを呼んでもらって話をすれば、


「ごめんなさい。その日は用事があって。本当にごめんなさい。又の機会にしてくれないかしら。」


「いえ、急にお誘いしてこちらこそごめんなさい。」


結局、一人で行くことになってしまったわ。


屋敷に戻ってみると、クレール伯爵夫人の母親が出て来て、


「お帰りなさい。ほら、凄いでしょう。貴方にドレスが届いているわ。」


「え?ドレス?」


箱の中から出て来たのは華やかな桃色の美しきドレスと、桃色の宝石をふんだんに使った髪飾りだった。


母親と姉はうっとりとそれを見つめて。


「さすが皇太子殿下。素敵な趣味ねぇ。」


「羨ましいわ。こんなに大切にされて。」


「皇太子殿下からなの????このプレゼントっ。」


何だかクラクラして眩暈がするんですけど…。


あの「「血塗られた皇太子と白竜族の姫」」って本、呪いの本なんじゃ…


姉が箱の中からカードを取り出して。


「あら…リリアーナ。日曜日の夜会の招待状が入っているわ。夕方にお迎えに上がりますって。」


「夜会????」


母親がにこやかに笑って。


「光栄な事じゃない。これはもう、断れないわね。」


姉もからかうように。


「もう、このドレスを着てうんとお洒落しないとね。」


ドレスもサイズがピッタリなんですけど…。


「と、とりあえず、気を落ち着かせる為に散歩に行ってくるわ。」


リリアーナは近所を散歩する事にした。


秋の空が何だか高くてとても綺麗で。


木の葉がチラチラと舞い散る道はとてもロマンティック。


そこへ、元婚約者のギルバートが再びこちらを見て歩いて来ようとした。


荷車を引いていた中年の男と、通りかかった騎士の青年が、ギルバートを拘束して、ゴザで簀巻きにして荷車に乗せて連れ去った。


本当に不可解な出来事が起こりすぎているんですけど…


ともかく、屋敷に今日は帰ろう。沈む夕日を見て、明日は何が起こるんだろうと怖くなるリリアーナであった。

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