栗色の髪の女
キョウがついさっきまでこのロボを使っていたのだろうか。
その件に関してはいずれ解決しなきゃいけないだろう。
それよりも、今はアンドロイドの部品とやらの解決が先だ。
だが、そっちは何も問題はなかった。
そういえば、ごく最近、結界に裂け目があったという。
そのことも気になりつつあった。
* * *
体は痛かったが、さっきよりはおさまっている。
まず、ケイはベッドに横たえた女を見た。
栗色の髪の女。
服は血だらけで、相当深い傷なのが想像できた。
ケイは服を破った。
脱がせるよりもそっちの方が傷に負担が少ないと思ったからだ。
女の胸元があらわになっても、別にケイは動じなかった。女には興味がないからだ。
左胸を一突きされている。
幸いなことに心臓までは届いていなかった。
出血が多いのは心臓に近いからだろう。
ケイは違和感を感じる。
環境維持ロボを破壊したほどの威力であれば、この女の体くらいは貫通しそうな気もするが。
胸の傷もそうだが、目の方も深刻だ。
潰されたのか。
窪んだ左目から、血なのか涙なのか体液みたいなものが流れ落ちている。
ケイは先に胸の傷を治すことにした。
ある程度、この女の体力が戻ってから目に時間をかけて治してやろう。
そこで女が起きた。
女は自身が胸元があらわになってることと、目の前に見知らぬ男がいたことでパニックになった。
「今、傷を治している。おとなしくしてろ」
とケイは言う。
女は逃げ出そうとするが、痛みのせいか動けなかった。
怖いのか、女はしくしく泣き出した。
「泣くな。悪いようにはしない」
ケイは焦る。
後で治すつもりの目が、今より悪い状態にならないだろうか。
いっそ女を邪眼で眠らせようかと思った。
だがそうするまでもなかった。
女はびくっと震えた後、静かになった。
痛さのせいか、怖さのせいか、泣きながら眠っていた。