見えない襲撃者
「ケイ!」
ロイはケイの体を揺すぶって呼びかける。
ケイの体が大きく仰け反り、ひっくひっくとおかしな呼吸をしはじめた。
「おい、ケイ!」
ふっと息を吐き、ケイの体からすとんと力が抜けた。
一見、眠りに落ちたようにもみえるが……
「ケイ! ケイ!」
「う………」
ケイが起きた。
頭を押さえ呻いている。
「く……うっ」
相当、痛いようだ。上半身を起こそうとするが。
「無理はするな」
ロイがまたケイの体を横にさせた。
「大丈夫か?」
「今は?」
「……?」
「あれから、どれくらい経った?」
「俺が来てから、ほんの数分程度だ」
「……クソが!」
ケイは起き上がる。
普段はそこそこ柔らかい物言いのケイの言葉使いが悪くなる時。
それは機嫌が悪い時。
それも他人に何かされた時だ。
ロイは、ケイを制止する。
「落ち着け。まずは状況の説明を……」
「僕を壊しやがって!」
ケイはロイの制止を振り切り、立ち上がる。
足元がおぼつかない。
長い間、横になってたから……というわけではなさそうだ。
ロイは、不本意ながらケイに肩を貸す。
本当は安静にしておいた方がいいとは思うのだが。
*
家を出たケイは、目隠しの魔法を忘れていなかった。
最高位が実はルウの地の外側に住んでいるというのは、ルウの民に対しては秘密なのだ。
なるべく見つからないように、外に出る際は自らに目隠しの魔法をかける。
こんな時でもその魔法を忘れないケイを、ロイは流石だと思った。
――そのぐらいのフォローはするのにな。
ケイの家の割と近く。
血だらけの女が倒れていた。
相当な出血で服は血まみれ、左目がつぶされていた。
「うっ……」
思わずロイは目を背けた。
「よかった。まだ息はある」
ケイは女を抱き上げる。
「必ず助ける。聞きたいことがあるんだ」
そばには、ケイが使っていた環境維持ロボがあった。
水晶が割れ、破片が飛び散っていた。




