緑の光
* * *
クラルは、シームァを気づかないながら歩いていた。
シームァはうっとりしたような、ぼんやりした表情でとぼとぼ歩いている。
後をつけられているのはわかった。
こちらに危害を加えることは無さそうなので、気にしないでいた。
とりあえず人気の少ないところへシームァをつれて行く。
とはいえ、宿屋以外に心当たりがなかった。
宿屋から出たばかりだったが、自分たちが泊まってる部屋へまた戻ってきた。
シームァをベッドに座らせ、瞳を覗き込む。
意外なことに、シームァは邪眼にかかっていなかった。
それどころか、今までほとんど反応のなかった左目の瞳孔が動いている。
「中央の広場でバイオリンを演奏するんじゃないの?」
クラルが例のピエロのお面を外し、ベッドに座り込むから、シームァは疑問に思った。
「演奏は後にしよう。さっきのミン君のこと、詳しく聞かせてくれないか?」
クラルの質問に、シームァが赤くなる。
「スタイル良くて、きれいで、すごく素敵な人」
「……………」
しばし、クラルは沈黙した。
「そういうことじゃなくて、何か感じなかった?」
クラルは、ミンの掛けた邪眼をシームァがどう防いだか聞きたかったわけだが。
クラルの質問にシームァは考え込む。
なんて言うべきか悩んでるみたいだ。
「さっき、魔脈が見えたみたいだけど? 似たようなのがミン君に見えたんじゃない?」
クラルの指摘に、シームァは強く頷いた。
「緑の暖かい光が見えた」
シームァの言葉に、クラルは今度はクラルが頷いた。
「それ、左目で見えたんじゃない?」
「どうしてわかるの?」
「やっぱり、そうだ」
クラルは自身の推理をシームァに話す。
シームァの生まれつきの目は魔脈や人の魔力が見える目であるということを。
「どうなのかなぁ?」
シームァは考え込む。
「そういえば、兄はそうでもないけど弟は魔力が強いみたい。そういう遺伝的に近い人が魔力が強ければ私も……?」




