たこパの後
そう思えば、文句の一つも言ってやりたい気分だった。というより心の中で文句を言っていた。
――キョウの家のそばで、アンドロイドの残骸でガイルが怪我をした。最高位って神の化身で、民を護ってるんじゃなかったの?
そう毒づいたところで、ファウははっとする。
以前の黒髪の女性とリゾが抱き合ってたのを思い出したのだ。
いくら、最高位といえどプライバシーはある。
今の自分がそうあるように、リゾはパートナーと一緒に過ごしているのかもしれない。
――今の忘れて。今のなし。
ファウは焦ったが、特にリゾからの返事らしいものはなかった。
きっと聞こえてないのだろう。
以前、リゾからの『アンドロイドが出没した。万が一のことを考えてキョウの自宅周辺の人間がいたら、中央の方へ避難させてほしい』というテレパシーみたいな声は聞こえた。
魔法の強い者でなければこの能力は使えないようだ。
ふと、壁にあるはずの水晶を見た。
その水晶でリゾの住む結界の中へ行けるのだ。
だが、そこに水晶はなかった。
「どうかしたか?」
食器を洗っていたガイルが、ファウにそう声をかける。
「ん、何でもない」
ファウは作業場の方に行ってみた。
そこに目当ての水晶があったので、ほっとした。
よもや、リゾが強硬手段で回収したのか、という懸念もあったがそうではなさそうだ。
おそらくキョウが自分で移動させたのだろう。
作業場なら着替え中だったり就寝中に現れるということもないだろうし、ここなら安心という判断だろう。
その時、窓の外を見ると環境維持ロボが見えた。
三体のロボがキョウの家の周りを何か探してるようだった。
どこか掃除してる作業のようにも見えた。
――もしかして、アンドロイドの部品を探してる?
ファウが抗議したから?
だが、やはりリゾからの返事があるわけでもなく、ファウは三体のロボが見ていた。
やがて、ファウは元の部屋に戻った。
そこでファウは、ガイルから衝撃的な告白を聞くことになる――。