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あなたのせいじゃない


「あ、あの?」

 涙を流しながら、シームァは慌てた。

 初対面の男の人がこんな至近距離で見つめてくるなんて。


「ごめんなさい。違うの」

 シームァはケイから離れようとした。



 ケイはシームァの顔をがっつり押さえている。


 ケイは、今度はシームァの左目と右目を見比べてみた。

 つぶされた左目は、ケイが渾身の魔力で治したのだ。見えないはずはない。

 何かおかしな治し方をしただろうか。



 じっくり見比べて、ケイはようやく気付いた。



     *


 一見すると普通の目と何ら変わらない。

 左目に比べると、右目は無機質な反射をする目だった。


 また、左目を見てみた。

 そうしてわかった。左目の瞳孔がまったくといいほど動いていないのだ。



 ケイは愕然とした。

 このシームァという女はたぶん生まれつき目が見えてない。

 後天的に目を機械にしたのだ。


 つまり、ケイは彼女を治したつもりで完全に余計なことをしたのだ。



「……あ、あの、離して」

 と、シームァが言う。


 ケイはシームァの顔を離した。

 とんでもない無力感に、ケイは苛まされる。



「あの……?」

 シームァはおろおろする。


「急に泣いたりしてごめんなさい。ちょっと気が動転しただけだから……」

 シームァは過去にもこんなことがあったなと、自身を省みる。

 こういう時はギャグを言ったりすると引かれるし、何か話題を替えよう。


「あの、あなたのせいじゃないから、気にしないで」

「そういうわけには……」


 シームァは部屋の中を見渡す。部屋の中は廃墟そのものでマイナスな話題にしかなりそうになかった。



 そういえば、さっき、ベッドのそばに気になる物があったのを思い出した。

 開きっぱなしのドアの向こうのそれを指さす。


「素敵なおかもちね」

「……?」


 ケイは怪訝な顔をする。

「おかもち?」


「そう、おかもちでしょ、これ?」

 シームァはベッドのそばに置いてある銀色の箱のそばに行って、指さした。

 他の物はいかにもぼろぼろでガラクタのようだったが、それはきれいに使い込まれているように見えたのだ。

シームァの登場する話に興味のある方は、

機械仕掛けの魔法使い -スティナ-

機械仕掛けの魔法使い~機械の手に導かれて~

機械仕掛けの魔法使い~機械の目と犬~

機械仕掛けの魔法使い~気まぐれの女神~

……をどうぞ。宣伝でした。

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