引きずり出す
痛い描写があります。
ましてや、ファッティの主が病気みたいなのに、病気が悪化したら?
シームァはその男を睨みつけていた。
だが、シームァの意識が急激に薄れていく。
男は倒れたシームァの前で屈みこむ。
男の指がシームァの目を探り……。
――嘘! やめて!
シームァは声にならない悲鳴をあげた。
男の指がシームァの目に入って来る。
どの指かはっきりわかった。
親指と人差し指と中指だ。
三本の指が眼球を引きずり出す。
機械の目といえど、生身の部分と繋がってる部分がある。
目と繋がっている神経や血管がぶちぶち切れていく。
目の奥の激痛。脳髄が痺れるような感覚。
胸と目からの大量の出血がシームァの体力を意識を奪って行った。
男が目を引きずり出す時には、シームァは気を失っていた。
*
次に目が醒めたのは、ベッドの上だった。
薄暗い部屋で、天井にクモの巣が見えた。
見知らぬ男がシームァを見下ろしていた。
シームァにはとてつもなく不気味に感じられた。
服が破けていた。
これからそういうことをされるのか、とパニックになった。
「今、傷を治している。おとなしくしてろ」
「泣くな。悪いようにはしない」
男は意外に紳士なのかもしれない。
そう思いながら、シームァはまた気を失っていた。
* * *
ファウは、キョウの寝顔を見ていた。
ガイルは先ほど帰ったところだった。
まさか、ガイルがキョウを女の子だと誤解してたなんて……。
それを知った時の驚きと言ったら……
だが、そんなファウの心情を知る由もなく、キョウはすやすや眠っていた。
キョウは寝てたから覚えてないだろうが、子どもの頃にガイルとキスしていた。
――まったく、昔から隙だらけなんだから。
ファウは、キョウの髪を撫でてみる。
ふと、レンの言葉を思い出す。
『わたしがキョウの髪と魂をもらってもいいじゃない。キョウの心と体はあなたのものなんだから……』
今、眠ってるキョウを独占しているのは確かにファウだけだ。




