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陽キャラと陰キャラ4


 家に帰ると三鶴城とのことで頭の中が一杯で、折角買ったゲームもやる気が起きなかった。


 考えてみると、何故あそこで格好をつけてしまったんだ俺っ!? 確かに無抵抗な子を襲うなんてダメだけどっ、諦めるのとは違ったよねっ!! もう明日から学校行きたくねぇよ‥‥。いきなり陰キャラで始まるのと、陽キャラから陰キャラへの都落ちってやばくない!?


 って言うか、陰キャラになる程度で済むか? あれ、俺いじめられるんじゃね? あだ名が二次元ハーレム野郎とかになる可能性も‥‥?


「うわぁぁぁぁ!!」


 俺は枕の中で叫ぶ。中学時代から、嫌なことがあると、この枕にはよくお世話になっているのだ。


 ーー今までで一番朝を迎えたくない。しかし、気がつくと一睡もしないまま朝を迎えていた。


 あぁ、なんて清々しい朝だ。まるで人生最後の日に、悟りを開いた死刑囚の気分だ。


 きっと学校に着いた瞬間から、周りの白い目に晒されるに違いない。そんな光景を想像したくもない‥‥。


 しかし休んだら休んだで、結局はいつか行かなければいけないのだ。


 自慢ではないが、俺は学校を休んだことがない。中学時代も行きたくないのを堪え、意地とプライドで、皆勤賞を取ったくらいだ。もうここまでくると、何かと戦っている気にすらなってくる。


 休んだら負け、俺は絶対に力になんて屈しないんだからっ!!


 震えながら学校を目指す。なるべく人と会わないようにと心がけてはいるが、結局教室に入ればそこでおしまいなのだ。この行動は何の意味もない。


 安西先生も言っていた、「教室に入ればそこで試合終了ですよ」と。


 そうして無事に教室の前にたどり着く。不幸か幸運かわからないが、ここに来るまでにクラスメイトには誰も会う事はなかった。


 ーーこう慣れば玉砕だっ。あばよ陽キャラの頃の俺っ!!!


 ファイヤァァァァァァァァアアア!!!


 ーー決死の覚悟で俺は扉を開いた。


「おはよー、楽!」


 扉を開いた瞬間、目の前にいた暗那が挨拶を交わしてくる。


「お、おはよ」


 それに俺は戸惑いながらも返し、席へと向かう。席へ着いてからも、池尾と黒須がやって来て、今までと変わらないくだらない話をしてくる。二人に変わった様子は何もない。


「みんなおはよー!!」


 俺たちの元に李梨奈がハイテンションでやってくる。李梨奈はいつも楽しそうにSNSをやっているから、真っ先にあの写真を見ているかもしれない。


 ーーしかし、李梨奈の様子もいつもと変わらなかった。


 ‥‥おかしい。まだそこまで広まっていないのだろうか。それとも、もう知ってはいるが、気を遣ってくれているのだろうか。


 しかしそんな俺の心配をよそに、あっという間に昼休みを迎えた。みんないつもと変わらないようで、いったい何が起きたのか俺の頭はいまだに現状に追いついていない。


「お腹空いたー。早くご飯食べよっ!!」


 いつも通り、俺たち五人は李梨奈の机の周りに集まる。普段はみんなここでお弁当を食べているのだ。


 ーーしかし、今日は俺には確認したいことがあった。


「‥‥悪い。今日はちょっと係りの仕事があるんだ」


 ーー俺はそう言って廊下に出た。




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