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5.乙女の性癖

「ピンポーン! ピンポーン! 開けてくださーい!」


 玄関前でギャーギャー騒いでいるのは神絵師ちゃんだ。

 モニター持って来てくれたのか。

 行動が速いえらい!


「はいはい今行きますよ……よっこいしょういち」


「遅い! ラノベちゃんなんですぐ開けてくれないの!」

「ごめん妄想してた」


「ハァー? もう荷物本当重たかった!!」

「ごめんごめん、感謝してるよ、マイスイートハニー」


「ま、まあいいけどね」

「愛してるよ神絵師ちゃん」


 神絵師ちゃんは荷物をパソコンの前に広げるとモニター設置の作業を始めた。

 神絵師ちゃんはパソコン関係強いし頻繁に更新してるよなー。

 絵師ってみんなこんな感じなのかな?


 なんかデジタル始める前から無理目な気がしてきましたよ?


「モニタの他に手持ちのグラボとモニターアーム、HDMIケーブルも持ってきたよ」

「何から何まですまないねぇ」


「ついでにブルーレイのドライブとオススメアニメのBDボックスも持ってきた」

「おおお!? 貴方が神か? やはりこの世界はあたしの妄想……」


「妄想? ラノベちゃん何言ってるの?」

「カクカクラノベルでこの世界と神絵師ちゃんはあたしの妄想なんじゃないかって……」


「ふーん面白いね」

「面白いかな?」


「面白いよ私も同じ事を考えていたから」

「え? 神絵師ちゃんが? なんで? 実はすごい不幸なエピソードとか抱えてるの?(失礼)」


「そうじゃなくて、ラノベちゃんがあまりにも私の性癖に刺さるからさ」

「へ? あたしが?」


「うんうん、ラノベちゃんの顔が好き、体つきも性格も好き」

「いやいや、そんな馬鹿なw」


「ラノベちゃんの不摂生を重ねた生き方が好き。

 筋肉のまるでない枯れ枝のような四肢に浮き出たあばら、子供のようにポッコリ出たお腹。

 女子力が低すぎて何一つ手入れのされていないぼさぼさの髪の毛に、汚らしい眉毛。

 目も落ちくぼんで目の下に年中くまが浮き出てる。唇も手もガサガサ、化粧している所なんて見たことない」


「お、おう。かなりディスってきやがる」


「学校や社会に出てもすごくカースト低そう。

 それなのに全体としてみるとなぜかすごくかわいい

 不可解で不条理。

 すごくドキドキする。私の性癖に刺さる」


「へ、変態だ―!!」


「あまりにもラノベちゃんが愛おしいから、ラノベちゃんは私が生み出した妄想なんじゃないかっていつも思ってた」

「いやいやいやいや!」

「こんなかわいい女の子がこの世に存在するはずがない!!」


 さ、流石神絵師ちゃん! とんでもないブツをぶつけて来やがった!

 夢見る夢子ちゃんかよ!!


 ※ラノベちゃんは自分も妄想してる事は棚に上げています。

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