3.絵師って性癖の話ばかりしてるよね。
「よし、セットアップ完了」
「いつもすまないねぇ……」
「おとっつあんそれは言わない約束だろ?」
そう冗談を言って二人してケラケラ笑った。
「データ移行用に外付けHDも上げるよ、どうせ何も持ってないでしょ?」
「何から何まで、感謝だよ」
「板タブも上げるね、もう使わないからさ」
「こんなにして貰って悪いねぇ……今度文章なんでも3万文字位プレゼントするよ」
「ありがとう、でも別に(使い道)思いつかないなぁ」
チキショウ!! イラストと違って文章は全く喜ばれないんだよ!!
文章書きはいつもこうだよ!! ガッデム!!
「……他にあたしが提供できる物と言ったら、この長年不摂生を続けている体しか……」
「……う~~ん……」
神絵師ちゃんはあたしの体と顔を値踏みした後、天を仰いで地に視点を落とし
たっぷりと30秒悩んだ後に。
「……やぶさかではない」
と言った。
やぶさかではない? 正しい意味で使っているなら『積極的にしたい』と言う事だが。
神絵師ちゃんに尽くしまくって貰ってるいるうちに好感度を上げてしまったか?
「え、ええええ、えっち……する?」
冗談めかして言ったつもりがどもってしまった……。
自分でも顔が赤いのがわかるんだが!?
ヤバイ!!
「うう~~~~ん……やぶさかではない……」
「マジ?」
「マジだけど。今日は止めとくね~」
た、助かった~~~!!
押し倒されたらどうしようかと思ってた!!
流石毎日性癖語っている絵師だけはある。
なんか絵師って肉体派だよな。チャンスがあったら気軽にエッチしそう!!
※ラノベちゃんの偏見です。
「お、おおじけづいたのかよぅ……デュフフ」
「デュフフ、秘密だよ」
「デュフフ」
ひとしきり二人で汚く笑いあった後、神絵師ちゃんはあたしに指一本触れずに帰っていった。
一人部屋に残された私は虚空に向かって独りごちた。
「あーしまったな……」
……失敗した。
神絵師ちゃんを帰してしまうんじゃなかった。
引き留めておくべきだった。
ちょうど良く神絵師ちゃんに絵の描き方を教わるチャンスだったのに……。