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1.神絵師への道

 ラノベちゃん(20)は書籍デビューも果たしているそれなりに売れているラノベ作家だ。


 ひっつめ髪にやぼったい眼鏡、顔は可愛いが化粧も何もしてない、顔色は悪く白い肌をしている。

 痩せてはいるが筋肉が無い所為か姿勢が悪くて、お腹がポッコリと出ている。

 素質は良さそうだけどいかんせん生活習慣が悪すぎる。そんな感じだ。


「神絵師になりたい……」


 あたしは3万文字を書きあげた徹夜明けで、机に突っ伏してそう独りごちた。


 “神絵師”それはTwitter創作系アカウントのヒエラルキーに燦然と輝く上位概念


 物書きや動画配信、Vチューバー等々創作系アカウントは数多くあれど。

 神の名が冠される創作系は少ない。

 神ラノベ作家、神物書き、神文章書き、どれもしっくりこない。


 Twitterのフォロワーも神絵師はたくさん居てフォローとの乖離が激しい。

 フォロー500に対してフォロワーは100倍の50000、そんな感じだ。


 あたしもたくさんの人に認めて貰って自己顕示欲を満たしたい!


 対してラノベ作家はフォロワー数とフォロー数がほぼ同じと言う相互フォロワータイプが多いような気がする。

 自分もこのタイプだ。


「神絵師になってチヤホヤされたい……」


 口を開けば『鬱だ死のう……』と言っている物書き界隈は、もううんざりだ……

 ※ラノベちゃんの偏見です。

 口を開けば性癖の話ばかりしている、絵師界隈が羨ましい……

 ※ラノベちゃんの偏見です。

 

 LINEであたしのラノベの挿絵を描いている、親友で幼馴染の“神絵師ちゃん”に愚痴をこぼす。

 

「カクカクラノベルで神絵師になりたいんだ」


 電話のベルがけたたましく鳴り神絵師ちゃんから電話が掛かって来た。


「ラノベちゃん!? それって私の事がもう必要ないって事!?」


 いや、そう言う話じゃ無いんだが、面倒くせぇなぁ……


「あたしが神絵師ちゃんみたいにチヤホヤされたいって話」

「え~チヤホヤなんてされてないよ~」


 10万フォロワーで、イラスト描けば“いいね”が毎回万を超えるアンタがチヤホヤされてないだとぅ?

 そう言うとこだぞ。

 あたしなんて一応プロのラノベ作家なのに相互でフォロワー『400』だぞ。

 自分で言っていて涙が出て来た……


「んで、神絵師ちゃんにイラスト教えて貰おうかなと思って……でへへ」

「分った~……じゃあ教えるね」


 お、渋ると思ったけど、意外にあっさり、うぇへへへこれであたしも神絵師の門をくぐれるんだ。


「まず~、1()()9()()()()()絵を描いてそれを3()()ぐらい続けて1()()()()絵を描いてね」


 まさしくハンマーで殴られたような衝撃を受けた。

 この衝撃って漫画の中だけじゃなかったんだ……


「外に出ないで家に籠って絵だけ描いてね、()()()()()()()()()()()()()だから」


「そ、そこまで徹底しないと駄目なのか?」

「わたし()()、ラノベちゃんしか居ないから」


 その言葉に私は、嬉しいような誇らしいような気恥しい気持ちになった。


「へ、へへへあたしも同じ……」

「え~……? 引くわぁ……今まで何やって生きてきたの?」


 ラノベ書いてたんだよッ!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] ノリが素晴らしくいいですね。 この一話だけで3回笑わせて貰いました。 また、テンポよく進むので、ストレスがなく読めるのがいいですね。 [気になる点] 特に有りません [一言] 楽しま…
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