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五日目
「愛しのアザレア、今日はお勧めの本を持ってきましたよ。なんと恋物語の小説です!今、魔族の間で流行っているんですよ」
「まさかの恋物語」
「ちなみに魔王と人間との恋物語です」
「なにやら含みを感じます」
「ヤダナー、ソンナコトナイヨ」
「……」
「冗談です!冗談ですからそんな無言で見つめないでください、興奮します」
「ドMですかそうですか」
「ちなみにこの小説、作者はなんと私です」
「心の底から要らない情報ありがとうございます」
「そこまで感謝されると照れますね」
「嫌味です、照れないでください」
「という訳でこの本をプレゼントしちゃいます」
「いりません」
「返品できない祝福がかかってるので無理です」
「それは呪い!」
「私からのアザレアへの愛ですよ?」
「重い!」
「……そう言えばどこかの男爵令嬢が植物のトゲで顔が醜く腫れたそうですよ。あの顔ではもう今までのように愛されることも無いでしょうねぇ」
「なんの話ですか」
「あぁ、私からアザレアへの愛の話でしたね」
「絶対違う気がします」
魔王の愛は重い。