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魔王のいない時間3

四日目に魔王は赤い薔薇を持ってきた。

勝手に牢の中に入って魔法で取り出した花瓶に活けていった。

少しだけ心が穏やかになった気がしたが、それを口にすることは無いだろう。

よく見れば薔薇の花は数本トゲが残っている。

ほとんど処理されているのに見逃したのだろうか?

そう思いながらぼんやり花を眺めているとコツコツと足音がしてミリアがやって来た。


「ごきげんようアザレア様」


愛らしい造りの顔が台無しになるほど歪な笑みを浮かべて彼女はこちらを見つめてくる。


「牢屋の居心地はどう?あら、薔薇を飾るなんて結構楽しんでるみたいね。優しい人でもいるのかしら。それとも看守をたぶらかしたの?」


こちらを馬鹿にするようにくすくすと笑いながら彼女を睨み付け言葉を返す。


「……なぜ私を陥れたのですか」


「陥れたなんて人聞き悪いわ。あなたは最初からこうなる運命だったの。だって悪役令嬢なんだもの」


「私が悪役?」


ミリアが何を言っているのかわからない。


「そう。私がヒロインであなたは私をいじめる悪い悪役令嬢。なのに何もしてこないからシナリオが狂っちゃった」


楽しそうに笑いながら言葉を紡ぐけれど、私には彼女が何を言っているのか理解できない。


「私と同じ転生者なのかと思ったけど違うみたいだしあなたはバグなのねきっと。けどいいわ、許してあげる。だって私はみんなに愛されるヒロインだから。死刑になるとは思わなかったけど仕方無いわよね、バグなんだから」


言葉の意味はわからない。

けれど、ミリアが私を踏み台にして全てを狂わせたことは理解した。


「ふざけないで!」


衝動のままに薔薇の入った花瓶をミリアに投げ付ける。

花瓶は柵にぶつかり割れたと思いきや一瞬で消えてしまった。

薔薇の花だけが柵の隙間をすり抜けミリアの足元に散らばる。


「あら駄目よ、せっかく綺麗に咲いた薔薇なのに」


ミリアは薔薇の花を集めるとそっと胸に抱えた。


「あなたのせいで……っ私は全て失った!」


「だからそれが正しいあなたの末路なのよ」


「そんなわけないじゃない!」


「そうなの、決まってるのよ。せいぜい悪役らしく死になさい。それじゃさようなら」


ミリアは歪んだ笑みを浮かべながら薔薇の花を持って行ってしまった。

悔しくて腹が立って気分が悪くなりそうだ。


(たとえ私の末路が本当に酷いものだったとしても……負けてたまるもんですか)


自分を抱きしめるように腕を回して私は戦い続けることを決めた。


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