第8話 やる子、やれる子、やられる子?
生徒会選挙が終わり、結果を見ると惨敗だった。現生徒会副会長が、次期生徒会会長に当選した。でも、雅ちゃんはやり切ったような顔で笑っていた。
そして、生徒会長となる2年の日ノ本渉さんは、役員として雅ちゃんを指名した。雅ちゃんのスピーチを聞いて、一年生でここまでこの学校を知っているのか、と感心したそうだ。先生たちからの評価もよかった。
「房子ちゃん、ありがとう。それと、いい原稿をくれたのに、勝てなかったわ。ごめん」
選挙の開票が終わって、彼女はそう言った。私はそんなことない、と言おうとして、
「スピーチはよかったわ。ただ、やっぱり私のことを知らない人が多かったり、1年生だからと敬遠されちゃったみたいね。また来季こそ頑張るわ。スピーチの原稿、またお願いね」
彼女のつづけた言葉に遮られた。ありがとう、そういって彼女は、自分の教室に戻っていった。
「雅ちゃん、残念だったねー。でも役員って、大抜擢じゃない。すごいねー」
帰り道、春香ちゃんはそういった。
「1年で立候補するとか、すごい行動力だよねー。まねできないや」
「そう?春香ちゃんって結構決断力とか行動力ある気がするけど」
「ないない、私は結構優柔不断よ?今日もガリガリ君でソーダにするか、梨にするか迷ってるし」
ショーケースの前でうなっている春香ちゃんを想像して、笑ってしまった。
「あー!信じてないね!ほんとなんだから」
頬を膨らませて、怒りをあらわにする。喜怒哀楽が読みやすいというか、読めるように表情を出しているというか…春香ちゃんは結構表情が豊かだ。
「でもさ、前におばあちゃんが道路を渡れてないときあったじゃん?あそこで『荷物持ちますよ!』って言って、横断の手伝いをサッとできるって、行動力あると思うんだけど」
「そうかなー。困ってる人は助けるって普通じゃない?」
「いやいや、思っててもできない人のほうが多いよ」
それもそっか、と春香ちゃんは言った。
「それじゃ私は行動力あるほうなのかな?なんか自信が出てきた」
「それはよかった。春香ちゃんはそうじゃないと」
「えー?自信満々じゃないと私じゃないっての?」
いつものようにふざけながら帰るその道は、いつも通り短く見えた。




