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夏色デイズ  作者: digital boy
1/3

出会い、そして運命の歯車が動き出す

今回が2作目です!ぜひ読んでみてください。

昼の12時30分。美術室の一画。そこの窓からの景色を、俺、四葉佳広(よつば よしひろ)はひたすらスケッチしていた。

うちの学校の校舎の形状で、ここからは丁度屋上が見える。屋上には、いつも街を見下ろす彼女の姿があった。

金髪の手前の様な茶髪で、目は黄土色、背は平均的、足はスラット長く、凹凸のしっかりとした身体は、否応なく見事なプロポーションだ。そんな彼女が目立たないわけがなく、学校中の男子から一目置かれている。

夏風翠(なつかぜ みどり)、運動神経抜群、博学才穎、才色兼備とは正にこの事だろう。その見た目から分かる様に、気さくで人当たりがよく、誰からも信頼される様な人物だ。

しかし、昼休みのこの時間だけは、彼女はどこか儚げな顔で、街を見下ろしている。

そんな彼女の姿を題材に、もう何枚の絵を描いただろうか…。別に美術部なわけではない。美術の授業の後、美術室に忘れ物を取りに行った時、たまたま彼女を見つけたのだ。彼女と俺の知ってるあいつがどこか似ている気がして…。

気がついたら1枚の絵が完成していた。

「これじゃ、変態みたいだな」と、今まで書き留めていた彼女の絵を、自分の鞄へしまおうとしたその時、「本当だね。でも、幻想的で嫌いじゃ無いよ。」と、不意に、後ろから声が聞こえた…。反射的に身体を捻って後ろを見ると、さっきまで屋上にいた、夏風翠がいた。



「な、夏風さん…。」息の詰まる様な返事をする俺に対し、「ん?」と小首を傾げる彼女。

「い、いやぁ、何というか、あそこにいた時の君が絵になると思ったら、筆が勝手に進んでたよ。はっはっは。・・・ごめんなさいっ!。」

勢いよく謝罪した俺に、彼女は驚いた顔で「え。あ、うん。でもこの絵、私と何か少し似てなくない?」

と疑問の意を示した。

「あ、これは俺の幼馴染で、君に少し似ているんだ」

「なるほどっ」

と、右手の手の平に左手の軽く握ったこぶしを、ぽんっと効果音が出そうな感じで叩き、彼女は納得してくれたようだ。そして再び、長い沈黙が訪れる。

意外にも、その沈黙を崩したのは、彼女の方だった。

「ねぇねぇ、その鞄に付いてるキーホルダーって、もしかしてGIRLS OF WAR?」


-GIRLS OF WAR-

通称ガルオワ。奇抜なファッションで、ロックやヘビメタ、バラードの3つのジャンルを主軸として演奏する、4人組ガールズバンド。メンバー達の名前と担当楽器以外は全てが謎に包まれている。ミステリアスな彼女達から発せられるラウドロックは、観客を熱狂させ、静寂を表すかの様なバラードは、聴く者の全てを虜にし、日本中で話題沸騰となった。

しかし、昨年の春、何故か彼女達は突然の活動休止を告げた。その謎多きバンドは、今でも人気が絶える事はなく、日本中から活動復帰を心待ちにされている。


「そ、これは日本武道館でのやつ。」しれっと言う俺に対し、彼女は興奮を抑えられない様子で、

「え、嘘。本当?あたしも行きたかったんだよ〜。いいな〜。」

とキーホルダーを、胸の前で両手でしっかりと握っている。どうやら、かなり熱狂的なファンらしい。

「それ、やるよ。」

と、俺が言った瞬間、彼女は全力で首を横に振って、

「いやいやいや、全然欲しくて見てたわけじゃないから、むしろ、ガルオワのキーホルダーなんてもらえないよ〜」と言って、俺にキーホルダーをかえしてきた。しかし、さっきの返答からするに、相当欲しかったのだろう。

「ま、絵のモデル料みたいなもんだよ。それにこの事を噂されでもしたら、俺が困るから。受け取って。」

微笑みながら、彼女に向かって手を差し出す。

「結局はあたしじゃないんだから、噂するわけないじゃん。」

とか言いながら、渋々受け取ってくれた。

そんなこんなをしてる間に、5限が始まる予鈴が鳴った。

「それじゃ、また後でね〜」

と、言いながら彼女は自分のクラスへと、帰っていった。

「おう。……え、また後でってどう言う事…」、

美術室に1人残された俺は、教室に戻るために階段を上った。



最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。結局、それまでの間に夏風さんは来なかった。

帰り支度を済ませて、下足箱で靴を履き替えてる僕の首筋にひやりと冷たい感覚が走った。反射的に首元を押さえながら、僕は後ろを振り返った。そこには、缶ジュースを持って、満面の笑みな夏風さんがいた。

「一緒に帰ろっ!」

夏風さんは、無理矢理缶ジュースを渡してきた。ジュースが貰えるなら、と僕は一緒に帰ることにした。

一緒に帰ってる途中、不意に彼女の鞄に目がいった。

「早速付けてるんだね。」

「うん!だってずっと憧れてたバンドのキーホルダーだよっ!?すぐ身近な物に付けたいじゃん!!!」

彼女は声を大にして言う。そこまで言うか、と思いながら、彼女の歩調に合わせて歩く。

「そう言えば、四葉君の鞄にもう1つストラップ付いてたじゃない?あれってギターのピックだよね?ギター弾けるの?」

唐突の質問に、何と答えようか少し考え、「昔、ちょっとね。」

とだけ答えた。すると彼女は目を光らせて、「え、何が弾けるの?ギターどんなやつ?バンドは組んだ事あるの?」

とまさかの質問攻め。(返答ミスったか…)と内心思いつつ、

「去年の文化祭でね、曲は定番曲くらいしか弾けないよ。」

と、ここは観念して答えておくことにした。

それから、彼女と帰り道が別れるまで、俺はずっと質問攻めにあった。

「それじゃ、あたしこっちだから。また明日〜」

彼女は手をひらひら振りながら、夕日に向かって歩いていった。

「嵐の様な1日だったな。」

と家に帰って、ベッドの上で1日を振り返った。突然の出会いに、まるでマシンガンかの様な質問攻め、これを嵐と言わんで、何と言おうか。ま、彼女を見ながら絵を描いてた俺も悪いんだけどさ…。

そう言えば、何故美術室にきたのかとか聞きたいこと聞くのを忘れていた。まっいっか。

そう言えば、あいつと初めて会った時もこんな感じに質問攻めを受けたなぁ…。

ベッドの横に貼ってあるポスターを見る。それは、ガルオワのポスターだった。そのポスターのギタリストのところに手を当て、「KEY、か……。」

それから、瞼が重くなるのには、そう時間がかからなかった。



次の日の朝教室に入ると、夏風さんが僕の席で待ち伏せしていた。

(くそ、それはセコいだろ)

と内心で悪態を吐きつつ、

「おはよ」

と、声をかけた。

「おはよっ!今日昼休みに音楽室ね〜」

それだけ言って、彼女は自分のクラスへ帰っていった。正直、周りからの視線が痛い。俺は、いつも髪の毛で右目を隠している。髪で隠れてるけど、眼帯もしている。友達以外とはあんまり話さないせいで、周りから重度のオタクだと思われているようだ。

そんな俺が、学年一の美女と話していたら、誰だって気になるものだろう。周囲の視線に耐え訪れた昼休み、俺は音楽室に逃げるように向かった。

音楽室に着いた時、彼女はまだ来ていなかった。ふと、音楽室のギターに目がいった。1本だけ、妙に綺麗なのがある。弦も張り替えたばかりのようだし。少し手にとって弾いてみる、いい音がする、耳から入ったギターの音が、心臓で木霊するようで、つい弾き語りをしてしまっていた。

「綺麗な声…。ガルオワのclimer is cryingだよね。バラードの中でも、1番人気の。

なんかKEYさんみたいな声だった…。」

(こいつ、本当に人の後ろをとるのが上手いな)、

「来てたんなら言ってよ。それにガルオワはガールズバンドだよ?」

少々気分が悪くなったが、いたって普通に疑問を投げる。

「いや、知ってるからっ!エセファンじゃないから。」

と彼女は、俺の肩を軽く叩く。

「それで、何で俺をこんなところに、呼びつけたの?」

肩を摩りながら、軽いノリツッコミを終え、本題へと促す。

「そうそう、忘れるところだったわ。私のギター気に入ってくれた?」

(なるほど、1本だけ明らかにいいのがあったのは、それが理由か。)

「あぁ、凄くいい1本だったよ。手入れもちゃんとしてあるし。で、俺の腕試しでもしてみたかったのか?」

今までの笑顔が一変、真顔になる。これで彼女にも、俺の本気が伝わるだろう。

「うん。まぁ、そういうことなんだけど。申し分なかったわ!ねぇ、あたしとバンド組まない?」

「嫌だっっっ!!」

即答してやった。彼女の笑顔が一変、今にも泣きそうな顔になる。

「なんでよ〜〜〜!実力だって十分あるし、歌声綺麗でコーラス向きだし、バンドに入れば即戦力の人材じゃない!あなたは!!」

そこまで褒められると流石に嬉しさが込み上げてくるが、俺の意思は変わらない。

(もう、バンドは嫌だ……。こりごりなんだよ。)

「いや、褒めてくれるのは素直に嬉しいけど、俺、もうバンドはやめるって決めたんだ。」

俺の顔が、真剣だったのか、彼女はこれ以上言うのをやめ、僕のバンドをやらない理由にも、深く聞いてこなかった。

「分かった。ありがとう。」

と言い、肩を落として、音楽室を出ようとする。

その姿が、またあいつと重なった様に見えた。

「メンバー集めくらいなら、手伝ってやる。」

そう言った瞬間、満面の笑みで、夏風さんがダッシュで近づいて来た。

「え、本当!?それは助かるわ!そうと決まれば、早速勧誘に行きましょう!!!」

目をキラキラと輝かせながら、彼女は僕の手を引っ張る。

「待て待て、あてはあるのか?それに今何人集まってるんだ?それにもう昼休み終わるぞ!」

そう告げた瞬間、5限の予鈴が鳴った。

「仕方ないわね。勧誘は明日にして、放課後は作戦会議しましょ!」

それだけ言うと、彼女はまたダッシュでクラスへと帰って行った。

「ほんと、人の話を最後まで聞かないやつだな。」

そう呟いて、俺もクラスへ帰ろうと駆けだした…。

(夏風さんと話すと、あいつの事が浮かび上がってくる。俺もあいつから抜け出さないといけないな…。)



放課後、下足箱で待ってると、数秒して彼女は来た。

「お待たせ〜。さぁ、作戦会議だ〜!」

(どこまでもノーテンキな奴だな)と肩を窄めながら、昼休みに言った疑問を投げつける。

「今のところ、何人集まってるんだ?」

「あたしと君だけだよ?」

「え?マジで?」

「うん!だって君が1番最初なんだもん!この話するのだって、四葉君が初めてだよ?」

「そうだったんだ。じゃあ、これが本当の第一歩なんだね。」

このころの俺は知らない。これから起こることが、俺の運命を、変えることに。

覆面系ノイズと風夏を混ぜて、自分なりに書いてみました。まだ、つたないところもありますが、よろしくお願いします!

ガルオワは、LiSAさんが昔組んでた、ガンールズデットモンスターと言うバンドからきました。

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