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親友殴りに異世界へ  作者: ヒナの子
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第五話 賢者とアルエット 序章

早朝、まだ太陽も出ていない。俺とエリスは魔の森の入り口に立っていた。途中に小さな休憩所があり、そこから少し逸れたところに、湖があると書いてあった。

魔の森も人の手が入っており、途中までは安全だ。魔物もほとんどいないらしい。

魔物は昔2つの空間がつながっていた頃にこっちの空間に入ってきて、今ではすっかり冒険者の餌らしい。

しかし、魔物にもランクがあり、Aランクにもなると大掛かりなパーティを組んで戦わなければ勝てないらしい。


魔法欠陥者という人達は剣の腕を磨き魔力を全身に纏って戦うそうだ。

魔法欠陥者と特異者の違いは、魔法欠陥者は魔力があるが魔法を持っていない、特異者はそもそも魔力がない。


「なあエリス、ついてきてよかったのか?」


「なんで?いやなの?」


「いや、魔物が出てきた時にな。」


「だだ、大丈夫だからさっさと行くわよ。」


見事に魔物にも冒険者にも遭遇せず、湖に着いたのだが。


「何にも見えないわね。」


そう湖に着いたと同時に霧に包まれてしまったのだ。


心の中でルストと唱える

右手に光が集まる。光の形を小さな竜巻きに変形させ一気に放出する。


日々の努力によりある程度元素魔法をコントロールできるようになったのだ。

努力の賜物である。


「何⁈湖が…」

エリスが驚くのも無理は無い。

ぱっと見湖が消えたのだから。

ザァーーーーーー!

答えはすぐにやってきた。


さっきの魔法で水が全て吹き飛び、魚が降ってきたのだから。


「もう!何してくれるのよ。」


と言いながらも地面に落ちた魚を魔法袋に入れている。


魔法袋とは、魔力を込めた分だけものが入る袋だ。日常必需品だ。


「ちっ、身包み剥がしてやろうと思ったのにのう。」

声は湖の底から聞こえてきた。


「おい!まて。」


「なんじゃ小童。さっきの物騒な魔法を放ったのはお主だな。」


「そうだ。何者だ、ただのジジイじゃねえな。」


「ほう、今回は当たりのようじゃ。

わしの部屋までくるのじゃ。」


「部屋なんてどこにも無いじゃない。」


「湖の底にこりゃ分かる。さらばじゃ。」


くそ、どうする。文献通りなら、けどあんなジジイが?


「何考えてるの?レビン早く行くわよ。」

行くしかないか。

「ああ。」


「で、何がわかるの?」

[ようこそ我が希望、そして黒髪青眼の少年]

ん?少し予想が違うが。まあいい。


「多分、おっ、あったあった。」


「何があったのよ。」


「エリス、何があっても前に進むんだ。

分かったか?」


「う、うん。なにを⁉︎」


こんな結界は、血を使って魔力を流せば。

ヒュン!


エリスは居ないな、やはり別々に転移か。

しかし、


「俺だけなぜ通した?賢者リュンヌ」


「お主には試練を受ける権利が無かっただけ、それとわしの名はリュンヌース・ユーグオンじゃ。」


リュンヌース・ユーグオンだと⁈

帝国の初代魔導王じゃないか!


「なぜあんたがここにいる?確か400年ほど前、帝国と天上の国シュトラールの戦争で死んだはずだ。」


「ふむ、あのお嬢さんが出てくるのにしばらくかかるだろう。少し手合わせせんか?

勝ったらなんでも1つ欲しいものをやろう。」


勝てるわけがない。だが!

「ルールを教えろ。」


「わしはお主に降参させれば勝ち、お主はわしのマントに傷をつければ勝ち。これでどうじゃ?」


こいつの魔法の使い方を見てみたい。

「ああ、いいぞ。」


一気に周りの景色が変わる。

「じゃあここで存分に戦おうぞ。」


「こっちから行くぞ!」

っ!


「ほれ、くるんじゃなかったのか?」


目の前に火の蛇がいた。


「ちっ!イズダム‼︎」


水の槍を創り、火の蛇に直撃し、火の蛇と水の槍は消滅する。


「ほれ、どんどんいくぞい。」




転移後、エリスは

「レビン〜。何よここ何もないじゃない。」


転移された場所はどこまであるかも分からない白い部屋の中だった。

一歩足を踏み出すと、一気に景色が変わる。


「起きなさいアルエット。

教会に行く予定よ。」

自分に瓜二つの12歳くらいの少女が起こされている。

エリスは意識はあるが、その世界には存在せず、声も出せなかった。


その少女についていかなければならないような気がして、今はその少女とその母親に付いて教会まで来ている。


「大司教様からの呼び出しなんて、

何かあったかな?」


少女は母親に質問するが、母親は何か他のことを考えているのか、適当に相槌をうっているだけだ。

しばらく歩くと今の帝国の教会より一回り小さな教会があった。

しかし街並みは帝国プラニエータそのものだ。


見習い神父のような人が出て来て、奥に案内される。するといきなり転移させられる。

2人は分かっていたようで何の驚きもなかった。


「ようこそおいでくださいました。

私、大司教のトレートル・ファン・アビスです。以後お見知り置きを。」


「こちらこそアルエットです。

今日はよろしくお願いします。

ところで私はなぜ呼ばれたのですか?」


「たいしたことじゃありませんよ。」

っ!

そう言いながら大司教はアルエットの意識を刈り取った。

そして母親と共に転移した。


祭壇のようなところで裸にされ、

体に直接魔法陣を描かれていく。


魔力が私と同じようにほとんどなかったのに

今はとてつもないレビンよりも多くの魔力が吸い出されている⁈

でも、これは魔力だけでなく生命力ごとのように見える。


「これでもやはり足りませんか。

しかし、後1人の後継者で封印は解ける!

次もお願いしますね。国王陛下。」


っ!どこから現れたの?


「ええ、禁書目録の力を手に入れるためですから。ではこの子は2年後に戦死させます。この死体の処分をお願いしますね。」


「はい。」

そして国王は少女と瓜二つの人形を作って

消え、大司教も死体を消滅させ消えた。

母親は何事もなかったように人形と共に帰って行く。


そこで意識が途切れ、目を開けるとふるびた天井があった。

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