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親友殴りに異世界へ  作者: ヒナの子
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第二十六話 二度目の異世界 親友編

「君達は、、魔人か⁈」


少年は突如現れた二人に対し、最大級の警戒をしていた。この二人が魔人ならば内側に侵入された事になる、それは人類の滅亡に直結する問題だ。


「魔人?魔人が何か分からないが、ここはどこか教えてもらえるか?」


「それじゃダメよ、レビン。

ここがどこか教えなさい。そうすれば何もしないわ。」


ここの事を知らない人間はいない。

更に脅迫!ここから村までは二百メートルもない。


「いや、それはダメだろ。ここがどこか分からないんだ。早く戻らないと向こうがやばいかもしれない。」


「そうね。ごめんね、私はシャルロット。

帝国プラニエータから来たの。」


「どこだそれは、魔人の国か?」


「魔人の国というのが分からないけれど、

れっきとした人間の国のはずよ、それに知らない人はいないと思うけど。」


「知らない。聞きたいことがある、魔人じゃないかも確かめてやる。ここで少し待っていろ。」


取り敢えず真実筆記を使えば分かるはず、

村に戻らないと、しかし、奴らが魔人なら、


「分かった、出来るだけ早くしてくれ、中々にやばいかもしれないんだ。」


ああもう、考えるのは苦手だ!大人に頼るしかないな。


少年は村へ真っ直ぐ走り出した。




「ところでレビンはどう思う?」


「転移魔法の一つだと思うけど、敵がやったんだったら、、国がやばいかもしれない。

それに住人も。」


顔には焦りの色がはっきりとみえる。

彼女には焦りが、彼には焦りと今にも泣きそうな顔が。


『何泣きそうになってるのよ!しっかりしなさい!』


「イーリス⁈今まで何してたんだ!」


父さんから貰った力を使った途端にイーリスの力が消えていた。


「イーリスって誰?」


「契約した妖精だ。精霊召喚。」


「それには理由があったの。

貴方が受け継いだ力は、魔力の質を大きく変えるものだった。だからリンクが一旦切れたのよ。」


「なんだそうだったのか。ここがどこか分かるか?」


今は小さなマスコットサイズで顕現している。


「全くね。けれどアンセムとは魔力の質が違うわ。」


まさか、異世界か?それじゃすぐには、、


その後三人はそれぞれの想いを胸に押し黙ってしまった。



「遅くなった。一人ずつこの紙と筆を持ってくれ、まずはシャルロットから。」


羽根ペンを握る。特に何も起こらない。


「離していいよ。

汝を示せ。」


シャッシャッ。


シャルロット・コード・サラスラマーナ

二十歳、異世界人



「異世界人⁈予想の斜め上だ。これは人間なのか分からないな、まあ、嘘は言ってないようだ。

えっと名前は、」


「レビンだ。」


「そうか、じゃあレビンも筆を持ってくれ。」


この時、少年の警戒心は八割がた無くなっていた。

しかし、次の瞬間それは元の最大級の警戒心に戻ってしまった。


シャッシャッ。


夏目・弥 ・スペリオール

二十歳、異世界からの異世界人


ザッ!


「御二方ご同行願おう。」


二人は唖然として縄で縛られた。






「で、言い訳はあるか?」


「えっとだなシャルロット、取り敢えずすまん。わざとじゃ無かった。と言うより夏目 弥の方が俺の本名だ。」


そこから違う世界に来た事を話した。

驚きもあったようだが魔法迷子マジックロストは、たまにあるらしいが、魔力の無い世界など聞いたことがないと言った。


「スペリオールってのは分からないな、レビンの時はハーシーだったし。」


「そんな事も教えてもらわなかったの?

真名と教えられたのね。真の名ではなくて、

神の名という意味よ。神名を持つものは、真の意味での固有魔法を操ると言われているわ。」


「その固有魔法ってのは心力の鏡には映らないのか?」


「ええ、あれは昔、賢者と言われる人が作ったと言われているわ。国に登録されている魔法しか出ないはずよ。固有魔法は一つもされていないわ。」


ハーシーとスペリオール、どっちが本当の神名なんだろうか。


「どうしたらその魔法をつか」

「おしゃべりはそこまでだ、牢屋からだせ」


ガチャガチャ。

男が一人、女が一人。命令したのは女だ。


どこに連れて行かれるかと思えば村のど真ん中。牢屋から出た直後に「この村を襲わないか?」と聞かれ、勿論と答えたら、、、

住民達のど真ん中での尋問が待っていた。



「お前達は魔人か?」


「違う。」

「違うわ。」


「お前達はこの世界の人間か?」


「違う。」

「違うわ。」


ざわざわ。周囲からボソボソと話し声が聞こえる。得体の知れない物を見る目でこっちを半睨みでみている人が大半だ。


「地球、転生者、アマネ、この言葉に聞き覚えは?」


「あ、ある。」

「ええ、あるわ。」


「全てにか?」


「ああ。」

「いえ、私はアマネという名前しか知らないわ。」


「では、男。ムラアキ セン。

この名前に聞き覚えは?」


「っ⁈その名前が何で出てくる!」


「質問に答えたら教えてやる。」


「ああ知っている。俺を異世界に連れて来た張本人で、、俺の親友だった男の名前だ。」


「そうか、嘘はついていないようだな。

最後に、お前達はムラアキ センの敵か?」


「そ、それは、、」

「現時点では分からないわ。」


「そうだな。では、人間の仲間か?」


「もちろん。」

「もちろんよ。」


「そうか。すまなかったな、縄を解いてやれ。今の質問に嘘は無かった。これからは客人として扱ってくれ!」


大きな声で村に宣言した。


「ほ、本当なんだろうな。」


「ああ。私の魔眼と私が信じられないならどうしようもないがな。」


「あ、あんたの異能は信用しているよ。

すまなかったな。客人、ゆっくりしていってくれ。」


その男の一言で、村の住民達はトコトコとこっちをたまに見ながら帰っていった。



「それで村秋 泉の名前をどこで聞いたんだ!」


少年は血相を変えて女に詰め寄る。


「そうあせるな、名前を聞いたのは本人からだ。人間を滅ぼそうとしている魔王の口から聞いたのさ。」


少年は唖然とし、その場にガクリと膝をつき、頬に涙を流した。


ずっと会いたかった親友は、魔王となり、人間を滅ぼそうとしていた。


その事を受け止めることが出来るほど少年の心に余裕は無かった。

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