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親友殴りに異世界へ  作者: ヒナの子
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第十七話 選定の儀 精霊界編

「良かろう。瀬崎 薫とシュリアの契約を認める!」


「「正しき道へ進むことを誓う!」」


これがキーワードなのか二人に同じ紋様が刻まれる。


「これで契約完了ね。夏目と一緒に帰るのよね。魔法の修行でもして待ってて。」


「じゃあ次は夏目あなたよ。覚悟はいい?」


精魂石は直径十センチ程度の水晶玉だ。

そこに俺の右手とイーリスの右翼が乗せられている。


「ああもちろんだ。」


「始めるわ。

高貴なる精霊と契約せんとするものよ、己の力を示し、己の全てを精霊に捧げ給え。」


精魂石が光る。無色の光だ。


体の隅から隅までの魔力を一滴残らず搾り取る感覚で魔力を注いでいく。


球が光る。色が徐々に変わってゆく。


「もう少し!」


最後の一滴まで、、とはならなかった。

最後一割を残したところで精魂石に魔力が入らなくなった。


「桜⁈」


桜、紛れも無い桜が舞っている。


「ありがとう弥。私は聖になれたわ。」


「い、いや待て。あなたは聖を超え神聖になっているわ。」


目の前で約四年ぶりの桜で話が入ってこない。それほど見事な桜の花びらだった。


「汝の力とくと見た。

夏目 弥とイーリスの契約を認める!」


「「正しき道へ進むことを誓う!」」


右手の甲と右手の甲に同じ紋様が刻まれる。


そう、右手の甲に。


「ってイーリス?そんなんだったのか?」


目の前にいるのは、桜色の綺麗な長い髪をもち、桜色の瞳、どこか和風を感じさせる服を身にまとっている。そして透明な羽を持っている。


「弥の魔力がこの私を作ったのだ。」


桜、両親と作った最後の思い出も桜だった。


「ありえないわ。それは我ら精霊とエルフの起源の種族、妖精が持っていた羽!」


確かに飛んではいたがシュリアにもカンナースにも羽はなかった。


「そうなのね。これが、ありがとう弥。

聖の上、神聖の上、妖精になったのよ。」


「そうか。これからもよろしくな。イーリス!」


「ええ、こちらこそ」


そう言って小型化したイーリスは俺の肩に乗った。




「じゃあ行くか。ありがとなカンナース。」


「いえ、こちらこそ。伝説の妖精族を見せてくださってありがとう。

旅人たちよ時は来た現世の門は開かれた、

元なる場所に帰り給え。」


視界が白く染まって行く。

これからのパートナーと、元同級生と、その契約聖を連れ、運命が待ち受ける日常へと。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「かえってきたの、ってええええ〜。

なんでこんなに増えてるの?」


時間は出発した直後だった。


「こっちは俺が契約した妖精のイーリス。

で、この人は精霊界で出会った、瀬崎 薫さん

と、その契約精霊のシュリア。」


という事にする事になった。妖精族は見ると、その時の情景まで見れるので嘘はつけないがそれ以外精霊界の事を知っているのは少ないのでいいと思う。


「、、そう。良かったわねレビン!

それと薫ちゃんはこれからどうするの?」


当然こうなるだろう。俺が頼まれていたのはここまででその後は分からない。


「ええ、予想外の事があり私も戸惑っているのですが、故郷に帰る為の手筈を整える為一週間程、宿を貸して欲しいのですがよろしいでしょうか?」


そうきたか。確かに学校に学生寮がある事を話した。一週間はそこに移る為の準備なのだろう。


「ええもちろん!でも、部屋が空いていないのよ。レビンと同じ部屋でいい?」


「ええもちろんです。一週間よろしくお願いします。」


だが、入学はどうするのだろう。入るのにもお金がいるはずだ。


「レビンいい?」


何の話だったっけ?


「あの何の話でしたか?」


「薫ちゃんと同じ部屋で一週間すごしてもらってもいいかだよ。」


「ええ、もちろん。」



この時レビンは同じ家でだと勝手に解釈していた。後から気づいた時にはもう遅く、

同級生と一週間、二人で部屋を使うという状況に陥っていた。


「で、色々考えたのにこれか。」


夜ご飯を食べた後、いつものように特訓に(イーリスはいない)行って帰ってきたら


「それでね〜」


二人ではなかった。四人だった。

わいわいとシュリアの精霊界の思い出で盛り上がっていた。


「あれ、イーリスは?」


今いるのは瀬崎とシュリアだけだ。


「イーリスはお母さんに話があると言ってさっき出て行ったわ。」


何だろう。律儀に挨拶に行ったということもないだろうし。そういえば精霊界に行く直前に母さんが何か言っていた気がするけど何だったかな?


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「貴女は、いえ貴女様は妖精女王ティターニアシリカ様であられますね。

本名なのには驚きましたが、名前の一部が精霊文字でしたので分かりました。」


「そう、流石に妖精は騙せないよね。

何で名前を見ようと思ったの?」


「魔力が、私と我が主の魔力は相性が良すぎた。質も本来ではあり得ないほど高かった、そんなとこです。」


「全てを見られたのでしょう。我が主、レビンの全てを知っていらっしゃるのでしょう?」


「彼が夏目 弥君でも私はいいの。

レビンにはこの事を?」


「告げていませんし、告げるつもりもありません。」


「そうしてくれると助かるわ。」


彼が聞いたそれは全てではなかった。

彼は良くも悪くも正体を知られた事しか聞かなかった。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


どうして、、それより俺はどうすればいいんだろう。

その夜、、俺はツァオベライ家のレビンとして生きるのか、転生者夏目 弥として生きるのか、、、、考えていても、、出ない。

闇は思考を鈍らせ意識を眠りの底へと引きずり込んだ。



「おはよう。」


『おはよう弥。』


シュリアが契約者の中に入れることを教えてくれて、イーリスは俺の、シュリアは瀬崎の中で寝たのでスペースがなくなることはなかった。


午前六時半、いつもより三十分遅れている。

瀬崎は、、いるわけがない。


「おはようレビン。」


「ああ、おはよう。早いんだな母さんも」


母さんは七時くらいにしか目覚めない。


「瀬崎ちゃんが朝から頑張ってくれてたからね〜。」


すでに食卓には鮮やかに彩られた朝食がなれべられていた。


朝の特訓。毎日の日課。今日はイーリスはもちろん、瀬崎達にきている。


「魔法の使い方?」


「ええ、私が使える魔法は昨日分かったのだけれど、どうすればいいのかわからないの。」


昨日、俺が特訓に言っている間に心力の鏡を使い魔法を調べたらしい。


「で、何だったっけ?」


「精霊魔法と式神魔法だったわ。」


精霊魔法は予想通りだったが、まさかの和風。


「式神魔法の説明は?」


「紙を作り出し、魔力を込めることで紙を操ることができ、式神化する事で命令をこなせるようになる。」


式神化の部分が分からない。


「紙は出せるのか?」


「ええ、操ることもできるわよ。」


「それで、触らずに鶴折れるか?」


流石に難しいか。


「バカにしないでよ?これでも中学の時は手芸部だったのよ。」


思い出した。一年生の文化祭の時、折り紙で一メートルにもなる花束(包装から全て)をひとりで作って先輩達の面目を丸つぶれにしたのはこいつだった。


「あれ?」


「やっぱりできないのか?」


「いえその逆で、鶴を思い浮かべただけで勝手に折れちゃった。」


そこには完璧な鶴がフワフワと浮かんでいた。


「そのまま増やせるか?」


「そのままは無理みたい。でも、、ほら!」


ほんの一秒たらずで百にもなる鶴が空中に浮かんでいた。

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