鳥籠
○意識が混ざる
○記憶が戻る
○色々面倒になる
○婚約を破棄
○領地を継ぐ
○能力で色々と無双
私は何故ここまでこの少女に固執しているのだろうか。
突然ふと、我に返る。
確かに、あの少女は私が持ち得ていない唯一の属性【光】を持っている。しかし私はただ【光】を持っていないだけで、それ以外の属性は特殊属性を含めた全ての属性を持っている。嫉妬される事はあれど、する要因はない。
「あの、エリザベート様?」
「・・・」
評判のあまり良くない男爵家の私生児で、光属性の発覚と共に父親に引き取られた子供である為に、貴族のしきたりやマナーに疎い。裕福な商家の娘の方がマナーが良い。
良く言えば純粋、悪く言えば単純。物事の表面しか見る事か出来ずに場違いな発言をする所は同情を誘う程だ。
私はこれの何がそんなに気になっていたのだろうか。
「エリザベート、」
「あら、まあ、ルイスベルト殿下、ご機嫌麗しゅうございます」
「ルイ様!」
ああ、思い出した。そうだ、これが気に入らなかったのだ。
「リーナ嬢、この後もゆっくり楽しむと良い」
「はい、ルイ様、この後はどうされるのですか」
「エリザベートと挨拶に回る」
「・・そうなのですね」
貴族の常識を知らぬが為に、彼女はしてはならぬ行為を繰り返す。
公爵家であるエリザベートと、男爵家のリーナはそもそも立場が違う。これが国王の愛妾であれば後ろ盾など不要であるが、ルイスベルトは皇太子とはいえまだ一王子に過ぎない。その為後ろ盾である公爵家は絶対に失えない。しかし愛人は貴族の嗜みとしての伝統がある。嫉妬はまあ許容されるが、排斥は許されない。
「リーナ嬢、学びとは常に貴女の欲しいものを与えてくれます」
国王の公式愛妾以外の愛人の地位は爵位に準じる。排斥はされなくても肩身は狭く、囲うことは許されても連れ歩く事は許されないのだ。
正妻は結婚まで純潔である事が求められるが、愛人はそんなもの求められない。寧ろ若く燃え上がる情熱の解消先が愛人候補なのだ。
若く短絡的な学生の性の乱れに方向性を与える為にできた制度のようなものだ。定められてはいないが、暗黙の了解ではある。
「リーナ嬢は自由なお方ですわね、狭い鳥籠では檻に絡まり羽を怪我してしまいそう」
「まだ今は巣立ちの時でもない、いずれ檻が何かも理解する」
殿下はよほど彼女の体に夢中らしい。学園では人目も憚らずにイチャイチャしている。学園ではある程度の自由を認められているとはいえ、人の口に戸はたてられない為、噂というものはどうしても広がる。だからこそ通常はそこまで大胆に動く者はいない。男も通常そんな女は選ばないのであるが、どうにも彼女は特殊らしい。
「」




