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ネタ帳  作者: とある世界の日常を
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悪役は、転生しても悪役なのです。

 失敗した。

 何もかも性急過ぎた。そしてあからさま過ぎた。

 それを自覚した時は既に手遅れで、引き換えにしたのは自らの命だった。


「最後に言い残す言葉があれば聞こう」

「私を殺せば恐ろしい事が起こるわ」


 悪逆非道を繰り返した彼女の名はカトリーヌ。ヴォワザン子爵家の末の娘だ。宝石商の夫を持ち現状爵位は持たないものの、豪華な邸宅はサロンとなっており、日夜パーティーで貴族たちが入り浸っていた。


「混乱が世に蔓延るわよ」

「毒婦め」


 カトリーヌは後悔していた。

 自らの行いで罪が裁かれる事を、これまで築いてきた全てが無駄になる事を。


 振り下ろされる刃から逃れる事はできず、冷たく硬い感触が首筋に食い込む。案外痛みは感じないらしい。恐怖も過ぎると感じない。

 ああ、私は死ぬのか。



 頬を伝う雫は涙か。

 涙を拭いベッドから起き上がる。頭がボンヤリする。私は何をしていたか、思い出せない。


「・・私、こんなに小さかったかしら」


 鏡に写るのはまだ成人もしてない、幼い少女。

 感じる違和感は何だろうか。


「まあお嬢様、もう起きていらっしゃるのですか」

「ええ、早く目が覚めたの」

「今日は旦那様がお戻りになりますものね」

「楽しみだわ」


 結婚してから会う機会も減ってしまった。


「・・?」


 あら、私はまだ十一歳よ。婚約者もいなければ、結婚もしていないわ。でもそうね、宝石商なのよね。色んな鉱石を手に入れやすくて、色んな事を試したわ。


「何を試したのだったかしら」

「どうされました、お嬢様」

「何でもないわ」


 取り敢えず、今年の誕生日プレゼントは薬草園をおねだりしなくちゃ。もっと早く知っていればと思ってたのよ。そうすればもっと強い繋がりを作れた。


「お帰りなさい、お父様!」

「ただいま、カトリーヌ。良い子にしてたかい?」

「もちろんよ」


 

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