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見栄
私という器は見栄で出来ている。恐らくは他人から見ればどうということの無い、ちっぽけな見栄。けれどそのちっぽけな見栄は私にとっては重く大きなもののように感じられて、捨てるに捨てられない厄介なものなのだ。
優しくて、しっかりしてそうに見られる。それは良い事ではあるのだが、場合によっては私を苦しめる。事実は異なるからだ。
優しさは持ち合わせているとは思う。
しかしそれは過不足なく、人並み程度にあるというだけだ。
例えば困っている人がいたら、時間に余裕があれば声を掛けてみるだとか、傷病人や障害者、高齢者には席を譲るだとか、そういった当たり前の優しさである。




