異世界の愛玩動物
ペットが日本と同じ扱いなら、可愛がられるだけじゃないよね
という事で、ちょっと残酷な感じに仕上げる予定。
※閲覧注意
残酷な表現、描写があります。
この異世界で、人間は完全な愛玩動物だ。
彼らは言葉を発しない。恐らくテレパシーの様なものでコミュニケーションを行っているのだろう。言葉を発しないからなのか、耳はない。只こちらが声を出せば反応するので、耳らしきものが見当たらないだけで、もしかしたら音を拾う器官はあるのかもしれない。
「帰りたい・・」
こちらに連れてこられた人間は少なくない。
ブリーダーの様な管理者がいて、私も今の飼い主に引き取られる前には数名の人間と一緒にいた。
最初は同じように連れてこられたばかりだと思われる人間と一緒にいたが、直ぐに男女別に分けられ、数日後に私と数名は別の場所に移された。多分、騒いでいるのと静かなので分けたのだと思う。それから大まかに髪の色と肌の色で分けられ、身体検査らしきものを受けた。多分、目の色もチェックしていたんだと思う。
更に数日が経つと、身綺麗にされて子供が多くいる場所に移された。そこにいる大人は女性ばかりで、子供の世話をしている人もいた。
最初の頃は訳も分からず子供の面倒を見ていたのだが、今思えば多分あれは本当に、ペットみたいにブリーダーとして子供を増やしていたという事なのだろう。
子供の世話をしていると、時々ブリーダーに連れて行かれる事があった。最初こそは何をされるのかと戦々恐々していたが、なんてことはない。彼らは単にペットの躾をしただけだった。扱いが丁寧だからこそ、耐えられただけだ。
もう直ぐ1年が経とうとした頃、繁殖の胎にされた女性を見る機会があった。
髪はまばらに白く染まり、艶もなくボサボサしていた。その顔に生気はなく疲れ切った顔をし、力なくソファーに座る様子に、生きているのか心配になる程だった。
「だ、大丈夫・・ですか?」
つい、声を掛けてしまった。
声に振り返った彼女は、日本人ではない。恐らく立ち上がれないのだろう。彼女は床に降りると、足を引きずりこちらへ近づいて来る。膨れた胎が、彼女の動きを阻害している。
駆け寄ろうとすれば、ブリーダーが側に来て私を止めた。頭を撫でられ、なだめようとしているのだろうか。別のブリーダーが彼女に近づき、丁寧に体を持ちあげて運んでいく。絶望に染まる彼女の瞳から、涙が零れる。不意に彼女と、来たばかりの頃に騒いでいた女性の面影が重なる。
まさか、そう思ったが確認する術を私は持っていない。それに私は人の名前を覚えるのも苦手だが、顔を覚えるのも酷く苦手だ。恐らくただの勘違いだろう。
彼女が今後知る事はないが、妊婦は確かに彼女と同時期にこの世界に来た女性であった。特殊技術による度重なる強制的な排卵と多重妊娠、及び投薬による成長促進による老化は多大なるストレスも与える。そして過度な妊娠出産は下半身不随を誘発した。
従順でないペットは出荷されないのが常である。成体であれば矯正は難しい為、繁殖のための母体として扱われる事になる。妊娠が不可となった時点で廃棄されるケースが殆どである。勿論母体となるケースはそれだけではなく、人気のある種も定期的に母体となる個体が選別されていた。扱いはどちらも大差なく、その殆どが障害を持つ事となり、最終的には廃棄される。
一方で優良なブリーダーまたは一般家庭にて飼育されている者の扱いは特に悪いものではない。同種または別種とお見合い後、自然交配にて繁殖する場合もあるからだ。お見合いの場合は同国出身の者と再会する可能性も少なからずある。または語学が堪能で異国の者であっても言語によるコミュニケーションが可能であれば自然交配の可能性は上がる。
特殊な環境下での同郷との再会は、大きく心を動かすのだ。
とは言っても嬉しい出会いばかりではない。
人間社会のペットと同じで、この世界にもブサカワイイという概念があるらしい。いや、まだ不細工というだけならマシというものだ。明らかに障害があると思われる者とも交配させられる事だってあるのだ。異様に手足の短い者。小人症の者。病的なまでに細い者。脳に障害があると思われる者。実に様々なハンデを持った者達がそこにはいた。
「(ああいう人とは組まされたくないなぁ・・・)」
そうは言っても全ては飼い主次第だ。
「(平和と言えば平和、かな)」
出荷されるのは子供が多い為、大人である私は特にする事もなく子供らの面倒を見ている。
人間をペットとしている異星人なのか、異世界人なのか分からない生命体に捕まる⇒まるでブリーダーのように人間を管理している場所に連れて行かれる⇒他にも何人か同時期に捕獲された地球人がいたが、騒いでいる人は別の場所に連れて行かれた⇒主人公は穏やかに過ごしているが、同じ日本人はいない⇒増える子供の世話係に⇒ある日、疲れ切った表情の女性が連れて来られる⇒反応は薄く、廃人と言ってもおかしくない様子⇒主人公はその女性の世話係に⇒初日に騒いでいた女性を何となく思い出す⇒年齢も違うように見えるし別人なのにどうしてだろうと思うも、実は同一人物⇒虚ろな中でも女性は主人公を認識したらしく、自分の世話をする主人公を見て涙を流す⇒それから数日後、また同じようにやつれて虚ろな表情の女性が連れてこられる⇒何回か同じように女性が連れてこられ、ある日全員がどこかへ連れていかれた。老人ホームのような場所に行くのかもしれない⇒しかし実際その女性らが連れていかれたのは保健所のようなところだ。彼女たちはただ殺されるために連れていかれた⇒それから数日後、主人公は別の部屋に何人かと連れていかれた。そこには同じように黒髪黒目で色白な男女が並べられていた⇒日本語が通じる人がいるかもしれないと話しかけてみると、一人だけ日本語を話せる中国人がいた⇒彼女も状況は分かっていなかった⇒