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星の声
この毒の星の殻は、それらの中で一番弱いモノが創った。何よりも誰よりも弱かったソレは、自分の回りを分厚い殻で覆い、さらに毒で覆った。毒で出来たソレに近寄るモノはなく、ソレは永らく一人だった。
しかし変化は否応なしに訪れるもので、それまで綺麗な空間では生存競争に敗れてばかりいた遺伝子が少しずつではあるが確実に次のステージへと進もうとしていた。
殻の表面で何かが蠢いている。それはとても弱々しい何か。ソレはその弱々しいもの達に親近感を覚えた。ソレは特に何をするという訳でもなく弱々しいもの達をただ眺め続けた。




