これは確かに異世界です
異世界転生や異世界転移は、もっと夢があるものだと思っていた。
森の中で目を覚ますという初めての経験をした私は、幸いなことにすぐに人に発見され人里へと辿り着く事ができた。
「ひとまずこれでも食べなさい」
そう言って出されたのは所謂お粥みたいなもので、はっきり言ってお腹が空いているだけの私にとっては確実に物足りなさを感じてしまうものだった。
「ありがとうございます」
この親切な人は狩猟を生業としている男で、名はシュナイフ。最近奥様が出産したばかりで生計の為に森の奥まで進み、偶然私を見つけたそうだ。
「まさか森に行って人を拾ってくるなんてね」
「ご迷惑をお掛けします」
「気にしなくて良いのよ、たまにある事だわ」
この人はシュナイフの奥様で、名はリーリア。まだ20代前半に見えるが、これでも子は4人目なのだそうだ。
「食事が終われば部屋に案内しよう」
「ありがとうございます」
暫くはこの家でお世話になる。とは言え無償でという訳ではない。住み込みの家政婦のようなもので、労働の代わりに衣食住を提供して貰うという訳だ。
毒族
毒を好んで食べる種族。毒に耐性があり、巨体。
毒獣、毒虫
同じく毒に耐性があり、毒を食べる。勿論巨体。
毒
転移者にとってはただの糖分。甘いだけ。しかし転生者にとっては現地人と同じく毒。
作用は糖尿病の症状を即効性にしたもの。
この世界で甘い香りは毒の香りである。




