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ネタ帳  作者: とある世界の日常を
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胎動

 優しい音がこだまする。

 わたしを包む、優しい音。優しい温度。穏やかに揺れるわたしの揺り籠。

 ひとつ繋がるその道筋から流れてくる全てが、わたしに愛を与えてくれているかのようだ。


 その暖かな場所が少し狭く感じて間もなく、わたしはそこから追いやられるように冷たい場所へと移された。寒い。肌がヒリヒリする。硬い。五月蠅くて耳が痛い。ここは何処だ。あの暖かな場所に帰りたい。喉が痛い。


 ただひたすらに声を上げた。伝い落ちる涙が暖かな場所を思い出させて心地良い。暖かな場所で与えられたものより少し固いものがわたしを包む。それ越しに暖かくて柔らかくて形あるものがわたしをふわりと抱き締めた。

 暖かな場所よりはぎこちない。けれど優しいその温もりは暖かな場所を思い出す。


 暖かな場所での繋がりが途切れたからか、酷くお腹が空く。その空腹で時折意識は覚醒し、ただただ声を上げる。まるで夢の中で揺蕩うように、意識は微睡み今己がどういう状況にあるのか理解していないどころか、考えることさえもしていなかった。



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