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ネタ帳  作者: とある世界の日常を
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異世界に美男美女しかいない件について

 魔力というものが本当に体内をめぐっていて、それを感じる事が出来て、さらには自分の思うように動かせるとしたら、人はまず何をするのだろうか。


 物を動かせるか試そうとするだろうか。それとも火をおこす事が出来るか試そうとするだろうか。


 多分、人が考える事はもっと単純だ。

 自分の体内にあってしかも動かせるとなれば、おそらく人はまず容姿を変える。


 多分、この世界はそうして創られた。



「態々欠点をそのまま残しておくなんて、物好きなのね」


 目の前の美女の名前はリュールララ。虹色の瞳に薄オレンジがキラキラと輝く髪を持つ、いかにもファンタジーという容姿をしている。


「・・残したんじゃなくて、変えられないのよ」


 彼女の言う欠点とは視力の事だ。この世界の人間は総じて視力も良い。だから最初は視力が弱いという意味さえも理解してもらえなかった。弱い、とはいっても昔の話で、この世界に来るずっと前に視力を良くする手術をしていたために生活に支障はない程度には普通だ。


「髪だってまるで森に引きこもってる魔女みたいに真っ黒だし」

「私だってわかりやすくていいでしょ」

「見つけやすいけど、ダサいわ」


 リュールララは何かと私に構ってくる暇人だ。新しいもの好きで、異世界の話をよく聞きたがる。


「せっかく力を持っているんだから、使えば良いのに」

「だって、すっごく痛いんだもん・・」

「そうかな?確かにやり過ぎるとちょっと痛いかも?」


 感覚的には体が柔らかい人と硬い人の違いのようなものだと思っている。幼い頃から無意識に魔力を扱っているからか、彼らは魔力での整形に痛みを伴わないようだ。とは言っても大人になってから大幅に見目を変えようとするとそれなりに痛むらしい。


「黒髪だって気に入ってるし」


 気に入っているというよりも、変えるための技術がないのだ。彼らは慣れているからスムーズに望みの色に変化させる事は容易いが、慣れない者にとっては素人が油絵を描くよりも難しいかもしれない。

 実を言うとアンダーヘアーで一度失敗しているのだ。プラチナブロンドを目指したのに、なぜか赤紫色と緑と茶と黒が入り交じったカオスなアンダーヘアーになってしまった。表面だけが変わったなら全部剃ってまた生えてくるのを待てば良いのだが、どういう仕組みか遺伝子レベルで変異しているらしく、剃ったものと同じ色合いが生えてきたのだ。

 今現在も黒に戻そうとしているのだが、更に色んな色が混じって益々カオスなアンダーヘアーになっている。見えない場所だから秘密に出来てはいるが、これが頭髪だったらと思うとゾッとする。黒に戻す事が出来たとしても、また新しい色にとは思えそうもない。


「モモにはピンクが似合いそうなのに」

「いいの、黒髪で」

「あーん!もったいなーい!こんなに可愛い性格してるのに」

「ありがとう」


 ぶっちゃけ嫌味にしか聞こえない。

 可愛い性格ってなんだ。性格って。




 この世界の子供は5歳になるまで外に出す事はない。関わるのは人間のみに限られている。

 そうなったのには訳がある。この世界では子供にも魔力があるが、赤ん坊ではまだ自我がないため、無意識のうちに魔力を動かしてしまう。その為視力がはっきりしないうちは大丈夫だが、目が見えるようになった頃から視界に入ったものの形を無意識にまねしてしまうのだ。

 現在世界各地に存在する亜人と言われる人に似た形を持つ人ではない種族の始まりはそんな赤ん坊だったのだ。猫と接触させてしまい、猫に近い変化をしてしまった赤ん坊。


 色程度であれば気軽に変える事は出来るが、姿かたちは見目だけが変化するのではない。どういう理屈なのか、遺伝子レベルで改変されてしまうのだ。基本的には人の遺伝子であるため、普通の人との間に子をなす事は出来るが、生まれた子も同じく亜人と同じ特徴を持つようになる。

 その基本的な身なりが安定するのが3から5歳だと言われている。その為、子供は5歳になるまで人前に出さない文化となったのだ。ただ一応、12歳くらいまでは体に変化を起こしやすい。それを過ぎると変化させられるのは色くらいになる。


 獣人⇒幼少期に動物と接触してしまいその形をとった子供か、捨てられて動物に育てられた子供。知能は人間と同等なので教育を受けられれば普通。

 ゴブリン等⇒知的障害を持って生まれた子供。うまく人としての姿を維持できずに偏った姿になった子供を捨てた結果。知能は低い。捨てられた森に順応しようとした結果の姿。順応した結果生き延び、最終的に繁殖に至る。



 この世界にも異世界転生者はいる。

 転生者を見分ける術など簡単なものだ。魔力は思考の影響を受けやすい。容姿が幼い頃から安定していれば、高確率で転生者である。ちなみにその姿形は転生前の姿によく似ている。無意識に記憶にある姿に戻ろうとするからだと言われている。

 転生者自体は珍しくない。同世界内での輪廻転生はよくある。ただそれを本人等は理解していないが、一部宗教が輪廻転生を唱えてはいる。ごく稀に前世の記憶を持って生まれる者がいるが、前世の記憶がある場合は世界の常識を知っているが為に上手く隠す事が多い。もしくは幼少の内に前世では出来なかった身体的変化を楽しむ者もいる。その中には勿論前世が亜人であった者もいるため、姿形が亜人に近くなる場合がある。それは精霊の取り替え子と呼ばれる事もある。

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