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そんなもんだ
自らが召喚したとはいえ、大切な王族を何処の馬の骨とも分からぬ輩に嫁がせようと思う者はいないと、どうしてあの時は想像さえしなかったのか、自分の乏しい想像力が恨めしい。
全てはまやかしで、偽物だったのだ。
あの煌びやかなお城も、着飾ってはいるもののあまり冴えないお姫様も、俺を騙す為の予備であって、本物ではなかった。
少し考えれば誰だって簡単に想像がつきそうなものを、どうして今まで気付くことが出来なかったのか、平和ボケしていた自分が憎い。
そうだ。平和ボケしていたのだ。自分が選ばれたという喜びで目が曇り、特別待遇という優越感に浮かれ、何一つとして現実を見ていなかった。その代償が今のこの状況だとは、神はかくも厳しく、自分はただ偶然によってここに来ただけであり、選ばれた訳などではないのだと思い知らされる。
「俺の、俺の人生は何だったんだ・・」
「人生なんて、そんなもんだ」
全てを知っていながら、何も教えてくれなかったこの男の名前はエヴァン。サポート役としてこちらに来てから直ぐに行動を共にしていた。
「」




