日本一周に旅立ったらいつの間にか異世界でした。
キャンピングカー性能
〇設備
ソーラーパネル
蓄電池 5つ
発電機(手動)
ミニキッチン
IHクッキングヒーター
雨水貯水タンクとそれ用の浄化槽
天井は開くとテントを張ったような形になる
シャワー&トイレルーム
生活排水浄化タンク(外側に扉等)
外付けシャワーヘッド
2ドア冷蔵庫
エアコン
ベッド(常設)マットレス 布団 低反発枕
テーブル ソファ
テレビ
ブルーレイレコーダー
〇家具、家電
つっぱりパイプクローゼット
つっぱりパイプ式シューズクローゼット
除湿器
アイロン
炊飯器
オーブンレンジ
扇風機
ウォーターサーバー
ミニ洗濯機(脱水機能メイン)
水なし調理鍋
ハンドミキサー
デスクトップパソコン
ノートパソコン
タブレット
スマホ
充電一式
電気ランタン
アースノーマット
〇レジャー用品
ボート(カヌーにもなる)
サーフボード
す釣り道具一式
シュノーケル道具一式
素潜り狩り道具一式
登山道具一式
スノーボード
ドローン
スケート靴
ローラーシューズ
改造パラグライダー
自転車
〇食料、調味料
5キロ 10袋 白米
玄米
3キロ 5袋 麦
1キロ 3袋 砂糖
塩
薄力粉
500㌘ 3袋 強力粉
パスタ乾麺
ソバ乾麺
ソーメン乾麺
うどん乾麺
オリーブオイル
ゴマ油
ニンニク
唐辛子
コショウ
鰹節
醤油
味噌
お酢
〇植物
ネギ
シソ
ブルーベリー
イチゴ
各種ハーブ系
もやし
〇動物
ニワトリ 3羽 オス1 メス2
ウサギ 2羽 オスメス各1
齢40歳。ついに念願かなってキャンピングカーを手に入れた。
最新型の電気自動車タイプのキャプコンだ。屋根は開くとテントの様になっており、快適に夜景を楽しむ事が出来るようにもなっている。ソーラパネルで充電が可能で車内には駆動用のバッテリーと生活用のバッテリーの二種類が積んである。勿論長期移動を視野に入れて余分にバッテリーを積んでいる。オール電化にするか迷ったのだが、結局は使い勝手を考えてガスも導入した。コンロは掃除しやすいようにIHであるが、取り外し可能の一口ガスコンロも乗せている。生活水用のタンクも中々の容量になっている。一応電気温水器も付いているが、太陽熱温水器も設置しているので快適な生活を送れる事は間違いない。
服はよく使うものの中から汎用性の高いものを優先して選択し一年分の衣類を入れてある。文明的生活が出来ない期間がある事を想定して洗濯板と桶を入れている辺りは完全に私の趣味だ。使うかどうかは定かではないが、取りあえず入れておきたかったのだ。収納は引き出しにするかクローゼット形式にするか迷ったが、自分のずぼらな性格をよく理解しているのでキャンピングカー後方を大幅に改装してウォークインクローゼットの様にした。勿論スペースを有効活用できるような作りになっている。
小さなシャワールームに洗面所とトイレは付いているが、よほどの緊急事態でない限りトイレは使う予定はない。備え付けのトイレを使って車全体がトイレ臭くなるのを防ぐ為だ。使わない為にと携帯トイレをそれなりの数揃えている。シャワーもあまり使う予定はない。日本各地の温泉に入って回る予定だからだ。洗面道具は充実しているが、シャワールームで使うのは洗面所位だろう。使用した水を再利用する為の浄水装置も搭載している。使用を続ければフィルター交換が必要だし、そのフィルターも安くはないので滅多に使う事はないだろうが、長期間水が補充出来ない可能性もない訳ではない。念のため交換用のフィルターも幾つか揃えてはいるが、未使用過ぎて壊れない様たまに動作確認も兼ねて使う位だろう。一応生活水とは別に飲料水も備え付けているが、飲料水はなくなれば再利用は出来ないのでその時は浄水設備を利用する事になるだろうが、公園の水道水さえ飲める日本で飲み水に困る事は殆どないだろう。
食料は基本的に現地調達を予定しているが、全てが車移動でしかも気紛れに動く予定であるので非常食代わりにインスタント食品を大量に乗せている。それ以外にお米と玄米、麦に小麦粉といった食品も乗せている。勿論一人暮らしには欠かせないオーブンレンジや炊飯器にホームベーカリー、電気ポットにケトルやホットサンドメーカーにホットプレート、2ドアタイプの大き目の冷蔵庫も搭載している。キャンピングカーに搭載するものとしては大きいのだが、大容量バッテリー複数搭載という荒業によって電力として無理はない。因みに車の外側後方にはウサギ小屋と鶏小屋が設置されている。どちらもそれなりの広さで繁殖の為に雄1に雌2の割合で飼育している。こちらもエサは基本的に現地調達だ。そしてその下にはなんとプランターが設置されている。家畜のフンをどうするかという解決策として最終的にこの形になった。別にここで野菜を育てる訳ではない。野菜を育てる場所は上の方に温室みたいなモノを作っている。此方は肥料にする為の一時保管場所の様なものだ。適度に交換しながら様子を見ようと思っている。私自身の排泄物もここにいれてしまって肥料にした方が良いかもしれない。まあ殆どは公衆トイレを利用する予定なのでその時になってから決める事だ。
その他には釣り道具一式、登山道具一式、スノーボード、サーフボード、シュノーケル、銛、各種ノウハウ電子書籍、料理道具一式、燻製道具一式、パソコン、テレビ、Wi-Fi、工具類と防犯道具にサバイバル道具一式と各種思いつくものは何でも揃えた。勿論車の後ろには自転車も積んであるし、上にはボートまで乗っている。全てを楽しむ為の道具を乗せたつもりだ。
ちょっと乗せ過ぎた感は否めないけど、後悔はしていない。
「無いよりは良いよね!」
必要ないと思えば途中で譲るなり売るなりして処分すればいい。
「さあて、出発-!!」
長年の夢が遂に叶ったからと浮かれすぎていた自分を窘めたい。
大丈夫だと無謀に進み続けた先に待っていたのは、真っ暗な森だった。
「うう~・・舗装されてない上に道幅もそんなに広くないから今更バックで引き返すのは無理だし、だからと言ってこれ以上進みたくないなぁ・・・」
山越えをしようと思い立って、段々と細く古くなる山道が遂に未舗装になった。それでもナビを信じて先に進んではみたが、もう2時間以上経つというのにまだ終わりは見えない。
「暗いからゆっくり進んじゃったし、こんなもんか・・」
1時間ほど経ったところで実はナビは消えてしまった。電波が届かなくなったのだ。パソコンのネットもスマホも繋がらなくなり、テレビも今は消えてしまった。
「圏外とか、久々に見た気がする」
それでも先に進んだのは、好奇心とナビでは一本道で進めば辿り着けると思ったからだ。
「今日はここで泊まって、明日明るくなってから出発かなぁ」
幸い、遭難したとしても軽く一月は過ごせるくらいの設備が乗っているので焦る事はない。
「ていうかお腹が減ったわ・・ご飯食べよ」
乗せていた無洗米と玄米、麦を混ぜて水に浸ける。30分程放置したら炊飯器のスイッチを入れてまた暫く放置だ。お腹は空いたが高速炊飯ではなく普通に炊く。その方が美味しい。
「おかずは何にしよっかな♪」
冷蔵庫の中は浮かれて購入した食材で一杯だ。基本的には臭くなるゴミが出ないように配慮した選択をしているつもりだが、絶対に臭くならない訳ではない。だからこそごみ箱も外付けにしたのだ。
因みに冷蔵庫の中には食材の他にも色々な種類の野菜の種が保管されている。見ているうちにプランター菜園用に沢山欲しくなったのだ。買った後に明らかにプランターの数が少ない事に気が付いて幾つかプランターを買い足したのはいい思い出だ。うん、いい思い出なのだ。
「卵と浸けた鶏もも肉・・」
肉類はあまり長持ちしないので多くは買っていない。冷蔵庫の半分くらいはお茶の葉で占められている。あれもこれもと買い足しているうちにこんな量になってしまったのだ。
冷暗所であれば長期保存が可能な野菜は改造して作った床下収納に保管している。風が通り抜けると気圧の変化により温度が下がるという簡単な仕組みを利用しており、風が吹かない時は自然と穴が塞がり低温が保てるようにデザインした。野菜を重ねても潰れないように小分けでネットを張り棚の様にしており、更には温度の変化を抑えられるように区画毎に上に引き出せるようにしたのだ。流石に自分で作るには細かすぎたのでプロに依頼したのである。
「玉ねぎ入れて親子丼にしようかな」
床下収納の冷暗所には玉ねぎの他にジャガイモ、カボチャ、サツマイモ、サトイモ、ニンジン、生姜、落花生を保管している。米類は別場所だ。そこには砂糖や塩、未開封の詰め替え用調味料等も保管している。
他にも窓際がミニ温室になっており、ブルーベリーとクランベリー、ラズベリーや野苺、ハーブ各種が収穫できるようになっている。まさにスーパー自給自足のキャンピングカーなのである。
「良い匂い~♪」
流石に改造しすぎたと思ったから人気のない山道を選んだ訳ではない。元々一人旅の雰囲気を満喫する為に最初のコースは山と決めていたのだ。うん。
天井の扉を開いてテントにする。星空を見ながらの食事は最高だ。
「案外、木々の隙間からでも星空が綺麗に見えるのね」
車の中からでは見えなかった星空が頭上に輝く。
食事が終われば歯磨きだ。プランターの土に吐き出すので歯磨き粉は使わない。歯ブラシで磨いた後はスッキリ感を味わう為に軽く洗ったミントの葉をガムの代わりに噛む。
「・・・トイレ行きたくなってきた・・・」
真っ暗闇の中、外ではしたくない。しかし携帯トイレを早々に使ってしまうのも躊躇う。だからと言って最終手段の備え付けのトイレはまだ使いたくない。ここは第三の手段として一応用意していた密閉出来るオマルを使うか。幸い小さい方だけだし、蓋を閉じれば臭いもしないし、洗えば再利用も出来る。
「よし、オマル使おうか」
使う場所は勿論シャワールーム兼トイレである。終わったら消臭用のフレグランスを一滴垂らせば臭いも気にならない。更に蓋を閉めれば完璧だ。
化粧は元々していないから、軽く顔を洗えば後はもう寝るだけ。使い終わった湯は冷ましてプランターへと入れられる。節約の為に量はそう多くない。
「おやすみ」
誰に言う訳でもなく呟いて、深い眠りに落ちていく。
「おはよう」
スッキリとした朝は鶏の鳴き声から始まる。車の後方に設置された小屋とは言え、こんなに近ければ良く響く。昨日顔を洗う為に使ったお湯はもうすっかり冷めて水になっている。それをプランターの土に掛けて新しいお湯を浅くはる。顔を拭いて化粧水を付け肌の手入れが終われば食事の準備だ。
「今朝は何を食べようかな」
鶏小屋に続く小窓を開ければ、ころりと一つ白い卵が落ちている。
「お、もう産んだんだ。環境がちょっと変わったからあんまり期待してなかったんだけどな」
だからこそ、卵は市販のものを買って冷蔵庫に入れてきた。
「折角だからこれで卵かけご飯しよっかな」
昨日炊いたご飯をレンジでチンして、軽く拭いた卵を温まったご飯の上で割る。弾力のある黄身が早く食べてよと誘っているようだ。少しの醤油を掛けて箸で黄身を崩せば催促する様にお腹が鳴る。
「いただきまーす」
濃厚な黄身は栄養満点の餌のお陰だろう。鶏のエサは私のご飯を作る時に出た残飯がメインだ。なるべくバランス良く食べているので、鶏も同じように健康的な食生活になっているに違いない。人と鳥で違う部分はあるとは思うが、そう大きくは変わらないと思うし。
万全の準備をしてからの旅立ち⇒山越えの際に細い小道に迷い込むも冒険心で先へと進む⇒いつの間にか圏外で地図も現在地をとらえられなくなってしまった⇒今さらバックで戻るのも難しくそのまま前に進む事を選択⇒時間も経ち、腹も減るので食事に⇒そのままその場所に止まり寝る事に⇒天窓から夜景を見ながらの食事と睡眠⇒翌朝、差し込む朝日で目覚める⇒そんなに深い森ではなさそうで、間もなく森も開けるだろうと予測⇒広めのあぜ道に出る⇒舗装はされていないものの、それなりに手入れはされているのか道は荒れていない⇒




