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ネタ帳  作者: とある世界の日常を
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聖女は切実に現実に帰りたい

 キラキラに眩しく麗しい王子。程々に鍛えた細マッチョの騎士、理詰めで頭が良いであろう出世株の宰相の息子。ピチピチの15歳。


 対する私。花も恥じらう40歳。

 ねえ、せめて同年代かちょっと若い子くらいにしてくれないかな。そう、35歳とかさ。その辺だったらまだ居た堪れない感じしないと思うの。

 もうね、さぞかし今まで蝶よ花よと大切に育てられてきたのであろう青少年が、親と同じくらいの女に宛てがわれるとか、目も当てられない。可哀想すぎて無下には出来ないけど、親目線であることを周囲にアピールしないと、彼らの未来が母と同い年の聖女との結婚になってしまうと思うと気が抜けない。


 せっかく頑張って面倒な人間関係が終わらせられたと思ったのに、突然異世界に拉致されこうして人間関係に悩まされるなんて、神様、私に何か恨みでもあるんでしょうか。


 本当に、切実に、帰りたいです。


「やった。やっと、達成!!」


 毎月の不労所得の目標金額が16万円だった。それは随分前に達成していたが、スローライフの土地建物購入費用で不労所得の運用資金以外に1000万円貯める事が、自分で決めた仕事を辞めるための条件だった。


「不労所得があったから、思ったより早く貯まったけど、80歳まで生きると仮定してあと40年か。あと15年は早く隠居したかったわ」


 でももう目標は達成して、あとは楽しみしかない。


「やっぱり私ってツイてるわ。最近良さげな土地もいくつか出てきたし、場所も理想的だったんだよねぇ」


 それから部屋を片付け、退去の手続きをし、不用品は処分して今後も使うものは宅配式のトランクボックスで預けた。ピックアップした土地はどれも実家に近い場所で、親に連絡して暫く世話になる事にした。自給自足の為の家庭菜園の延長でゆるく無農薬栽培の直売所をやる予定であるため、どの土地も農地付きだ。買うためには農業従事者となる必要があり、許可がいる。

 多少手続きは大変かもしれないが、したい生活をするためならあと少し、頑張れる。山林付きの土地が最有力候補だ。山林は森林管理組合の加入や維持管理の費用が掛かる可能性があるが、その辺も可能であれば自分でやってみたい。果樹が沢山ある森にしたいんだよね。あと薪とかも調達できるようにしたいし。そしたらピザ窯も作って遊んでみたいな。

 と、話がズレてしまった。


 やりたい事が沢山あって、今までにないくらいワクワクして精力的にすべき事を進めていった。その甲斐あって、無事農地を購入できる資格を得、山林付きの広大な土地を手に入れたのだ。しかもやっぱり私は運がある。なんと山林には小さいけど沢があったのだ。堀のある空間、作ってみたかったんだよね。

 そんな夢のある土地を購入できて幸せいっぱいだった。家もある物件で、古くて昔の家故に天井が低く、床も軋んでいたが雨漏りもなく、水場もタイル張りで作りは古かったものの、掃除が行き届いていてキレイだった。中古の場合は風呂トイレキッチンの水場はリフォームすると思っていたが、必要ないと思えるほどにキレイだった。トイレは和式から洋式に数年前にリフォームしたのだそうだ。その時汲み取りだった排水も浄化槽に変えたそうだ。


 間取りを変えたり床板や壁紙の張替えや断熱材の仕込みは、畑をやりながらDIYで進めるつもりだ。畑といっても、まだ耕してもなければ苗も育てていない。ゆっくりと勧めていこう。

 そうして少しずつ自分の望む部屋に作り替え、畑に作物も植え、果樹も苗木を購入し距離を測り場所を決めて植え付けた。コンパニオンプランツも組み合わせ、私が考える最強の布陣で作り上げ、大変な作業も楽しかった。


 畑が落ち着き、内装も一段落ついたからと、念願の大きなウッドデッキも注文し、組み立てた。その上に屋根付きのパーゴラを組み立て、ゆったり出来るブランコタイプのベンチを設置した。ウッドデッキ周辺は虫除けのハーブや植物をふんだんに置いているから、対策もバッチリだ。

 人里離れた土地ではあるが、昨今は物騒で農作物や家畜、果ては農機具までを窃盗するヤカラのニュースも見るため、趣味と実益を兼ねた食べられる生垣、ヒメウコギで家を含む土地をぐるっと囲ってみた。まあ、ろくな農機具揃えてないんだけどね。完全に趣味。今挿し木してる苗が大きくなったら畑も囲む予定。トゲがあるから野生動物対策にもなるかもしれないし。


 異世界に飛ばされたのは、最後に求めていた家畜、チャボの初卵を収穫した瞬間だった。


 朝一の着古したTシャツにペラペラのショートパンツ。それと回収用のカゴ。あまりの嬉しさに卵を天に掲げた状態で私は召喚された。せめて、もう少し普通の格好で召喚されたかったよ。


 現実を受け入れる間もなく色々と説明されて、一応不労所得とあまり変わらない生活が出来ることは理解できた。

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