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皇后の剣
皇后の地位に有ることは義務だった。
生まれた時から道は既に決められており、愛は知らずとも信頼を築き、共に上に立つ者として情を持ち、互いを尊重していると思っていた。
「ウィル・・」
漆黒のドレスに身を包み、棺に横たわる幼子の顔は涙で歪み直ぐに見えなくなった。
「(どうか、この愚かな母を許さないで・・)」
守れなかった。守りたかった。どうして。
後悔ばかりが胸の中で渦を巻く。
「(エドワード・・)」
当然のように、ウィルを守る一人だと思っていた皇帝。無条件に信頼を寄せ、警戒を怠ってしまった己の浅はかさ。なぜあのような男を信じるに値すると思い込んでしまっていたのか。




