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不可侵の領域
召喚された訳では無い。
それでも私はとても派手で神秘的な顕現をしてしまったらしく、戦争で疲弊したその国の民にとっての希望となってしまった。
神に会ってもいなければ、何か特別な力を貰った覚えもなかった。けれど私は強い想いを現実にする力が芽生えていた。言うなれば、戦術兵器というものだろうか。
「聖女」という重苦しい名を与えられ、まだ未婚の王子を充てがわれ、後見人ということで侯爵家の養子となった。何もかもがあっという間だった。
そうして私は戦争の最前線に送られた。
ストレスが最大に達していた私は、貴族の迂遠なやり口にも、勝手な理由で縋ってくる人々にもうんざりして、ただただ一人になりたかった。そして私にはそれを実現する力があった。
巨大な山脈を作ろう。行軍などできない程の巨大で
永遠に続くかのような山脈。切り立った崖、底の見えない奈落の渓谷。その山脈の間に、私だけの楽園を作ろう。だれも到達できない私だけの場所。




