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その手を
わたしのなかの、くらいやみ。
それはずっと幼い頃から、私の中で渦巻いていた。
でも愛が、優しさが、慈しみが、私を人という枠の中に留めてくれた。
ただ何かが欠けた私は、誰かと番うことはなかった。それでも妹の子供がいて、きっとその子もいつか結婚し、子を残すのだろう。それがずっと、私を人のままでいさせてくれると、そう思っていた。
「・・・なっちゃん?」
その肉塊を、なぜ、そう思ってしまったのか。顔はぐちゃぐちゃで、皮膚も多くが裂かれ血と泥にまみれ、髪色もろくに分からない。細い骨格から辛うじて女かもしれないと認識できる程度だ。何度か送ったアクセサリーも盗られたのだろう。何一つ残っていない。
なのになぜ、私はそれを姪だと認識してしまったのか。
「・・・っ」
触れた血は冷たく、固まりへばり付いている。




