157/178
帝国のお姫様
原作は転生もののお姫様が努力で居場所を獲得する物語。
ナターリエ・フォン・アルベリド。それが私の名前だ。
「姫様はアルベリド帝国の太陽であらせられる皇帝陛下の唯一の御息女でございます。その尊い血筋は帝国に安寧をもたらし、繁栄に導く義務がございます」
まだ三歳にも満たない私に小難しいことを語り聞かせているのは、乳母のエリザベス・ハノーファー。噂好きの侍女によると、私が産まれる少し前に死産しているらしい。
我が子に私を重ねているのか、エリザベスは私をとても可愛がっている。
「姫様、皇帝陛下の御尊名は?」
「・・・クライシス・フォン・ジョージ・アルベリドさまです」
「ええ、そうです。姫様は大変ご聡明でいらっしゃいますね」
「リジィのためにがんばったのよ」
「まあ、嬉しゅうございます」
賢いのには一応の訳がある。私にはこの物語の記憶があるのだ。真偽不明の摩訶不思議な記憶ではあるが、その物語は乳児期から始まっていて、最初こそ不明瞭だったものの、産まれた時の記憶もある。
結論から言うと、産まれて約三年のこの期間に、今の人生がその物語である確率が非常に高いと判断したのだ。




