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いのちの水
一度心を許し内側へ入れてしまえば、そこから追い出すのは難しい。だからこそ、私は内側へ入れるものは慎重に選んでいたつもりだ。
そんな中で、彼はほぼ無条件に内側に入れた人物だった。だって、彼とは家同士の政略という契約の上に成り立つものだった上に、こちら側が優位な内容での契約であったから、まさか裏切られるなんて思ってもいなかった。
「初めまして、これからどうぞ、よしなに」
笑顔という仮面で本心を隠し、私は彼に挨拶をする。
「初めまして、とても愛らしい貴方を婚約者に迎えることが出来て、私は果報者ですね」
「まあ、お上手ですこと」
全てに裏切られ、絶望したあの時、どうしてだか私は時を遡った。




