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ネタ帳  作者: とある世界の日常を
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嵐吹く

この世界の文明は遅れている。異世界にありがちな魔法というご都合主義満載の便利な言い訳も存在しなかった。

そんな中で私は第三皇女という立場に生まれた。幸いにも皇后を母に持つ私には、皇室からの予算が幾ばくか与えられている。

召使いは皇室つまりは皇帝から、侍女は皇后から貸与されている者達である。自らが選び側近として召し上げる場合は第三皇女の予算から支払わなければならない。ただ大概は選び抜かれ予め用意された側近であるから、事前に話が通る為、諸々の決定権は皇后にあると言える。

予算は公費とされ、衣装や宝飾品、交遊費に慈善活動等はそこから賄われる。勿論子供である皇女にそれらが正しく行える訳もなく、決裁権はあるものの、実際の決済者は母である皇后だ。

予算を自由に使えるようになるにはまず、母である皇后に信頼されなくてはならない。


(先は長いわね)


そもそも、本来の第三皇女と私は別人だ。前世の記憶が蘇ったというよりは、憑依だろうか。第三皇女としての記憶はないが、第三皇女をずっとどこかで見ていた気がする。だから第三皇女がどんな人なのか、少しは知っている。


(気まぐれで我儘で少し意地悪な考えなし)


ただ皇后の一人目の娘という事で、とても可愛がられていた。


(今まで慈善活動は言われた事をそのまましてただけで興味さえ持っていなかったけど、多少興味を持っても気まぐれで済みそうね。ただの慈善活動っていうより行動実験に近いし)


王政のような場所で、してみたかった事があるのだ。

この国には貧民窟がある。そこは恰好の実験場だ。


(まずは市井の消費を知りたいわね。相場と、最下層の仕事って何があるのかも)


貧民窟は無秩序に見えて秩序があり、社会の一部に組み込まれている。完全に無くなってしまえば最終的に困るのは貧民より上の立場にいた者達だ。貧民を無秩序に救えば、これまで貧民が担っていた役割が放棄されてしまう可能性がある。それが犯罪行為だけであれば良いのだが、汚物の処理だとか最下層の安い労働力が無くなってしまうのは困るのだ。


(でもまずはトイレね、今はぼっとん便所で地下水路にそのまま流しているのよね)


皇宮の地下水路は迷宮の様になっている。人が通れないような幅も多く、一度迷い込んてしまえば二度と外へは出られないと言われている。皇族居住エリアは特に複雑で、その殆どは人が通れない程の幅で作られていると聞く。


(まあ悪くはないのよね。皇族だし)

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